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審査員が見たカンヌライオンズ2023

カンヌ2023に学ぶ:Vol.2金箱洋世「パーパスを見る目は厳格に。シャープな機能訴求が光る受賞作」

オンラインでも感じる潮流と争点

 MarkeZine読者の皆様にも、一度カンヌライオンズに参加してみていただきたいです。初めての方なら現地参加をおすすめしますが、オンラインでもコンテンツを遡って視聴することが可能です。また、クリエイターばかりが参加しているイメージをお持ちになるかもしれませんが、そうではありません。現地のセミナーで得られる学びは非常に大きく、その年のイシューが大変明快にわかります。今年のイシューは生成AIでした。夏の7時間遅れの時差ですから、終業後に参加できます。

 私は過去の経験から、現地に足を運ぶ素晴らしさや楽しさも理解しています。しかしながら今回オンラインで参加してみて、日々の業務の延長線上で気軽に参加し、意識のアップデートができるメリットを感じました。オンラインでも十分に学びを得たり、潮流の変化を感じたりできます。

――マーケターがカンヌライオンズに参加することで、具体的にどのような学びが得られると思いますか。

 カンヌライオンズはその年の優れたコミュニケーションが集まる場です。短時間で大量の優れたコミュニケーションと触れることができるため、自分自身をアップデートする絶好の機会となります。これが第一の参加メリットです。

 第二に、カンヌライオンズではその年のイシューにおける争点を知ることができます。たとえば今年の「生成AIとクリエイター」や「パーパスブランディングの行く先」というイシューについて、正しい答えが決まるというよりは、どこが争点になっているのかがわかるのです。自身の意思やスタンスについて考える機会にもなるため、ビジネスにおいても非常に役に立つと思います。

世界と日本のスタンダードの違い

 実際、私たちのようなクリエイティブに携わる人間がクライアントと日々向き合っている仕事と、カンヌライオンズのような場で評価を競うコミュニケーションとの間には現時点で差があると感じています。しかしながら、カンヌライオンズはあらゆる試行錯誤が集まる場でもあるため、共通課題の発見や鉱脈の発掘もできるのです。参加することで、世界から日本に持ち帰ってこられるものもきっとあるでしょう。

 ファインアートとは異なり、広告はその時代の社会的なムードや課題が反映されるものです。その時に起きているトピックスに対して皆の気分や心の中にあるものとどう手をつなぎ、ビジネスをしていくか──このようなコミュニケーションが世界では一つのスタンダードとされています。

 一方で日本の広告コミュニケーションはモノから発想していく場合が多いかもしれません。今年のグランプリ作品のように社会課題を扱う姿勢やジャーナリスティックな視点が入れば、社会に大きな影響を及ぼし、世界で勝負できるチャンスが広がるのではないかと思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/42746

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