2022年度は1億超の広告素材が非承認に
次に、ヤフーの一条氏が登壇し、2022年度下半期の「広告サービス品質に関する透明性レポート」の詳細を解説する。

ヤフーの広告審査には「広告アカウントの審査」と「広告の審査」の二段階がある。広告アカウント審査では、広告の掲載が広告主から申し込まれるタイミングで、アカウントの透明性を審査する。一方で、広告の審査では、広告主がアカウントを登録した後、ヤフーがクリエイティブやサイトの中身を審査。審査の結果次第ではアカウントの停止を求め、広告掲載を承認しないなどの手続きをとるという。
それぞれの審査で2022年度に非承認だった件数や特徴を順に見る。まず、広告アカウントの審査で下半期に非承認となったアカウントは3,824件に。非承認の理由としては、広告の遷移先がエラーページになるなど、「通常の環境で表示されないこと」が大半を占めたと一条氏は語る。

広告クリエイティブの審査結果はどうか。2022年度は約1億3,000万件の広告クリエイティブが非承認になったという。

「2022年度は2021年度と比べて、広告非承認数に大きな増減はありませんでしたが、入稿数自体は増えているため、非承認となった広告の割合は減少しています」(一条氏)
非承認となった広告の特徴を見ると、最も割合が大きいのは「最上級表示、No.1表示」だった。最上級表示広告とは、No.1だと謳っているにもかかわらず、それを裏付ける客観的な根拠がない広告のことだ。
動画では特に「不快・性的な広告」が非承認に
ヤフーはまた、非承認になった理由や特徴的な表現を、クリエイティブの種類別(画像・動画)で分析。その結果、画像では「最上級表示、No.1表示」の割合がトップで大半を占めているのに対し、動画で最も割合が大きかったのは「ユーザーに不快感を与えるような表現」だった。
ユーザーに不快感を与える表現としては、「口や鼻、胸、腹など身体の一部を拡大したもの」や「性表現が露骨なもの」などがある。ヤフーでは、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が発表している不適切な広告クリエイティブ事例も参考にし、広告クリエイティブの審査を行っているという。

一条氏は、広告の種類ごとで異なる非承認ケースの特徴も解説する。2022年度下半期の「ディスプレイ広告」に見られる非承認ケースの特徴は、薬用化粧品(医薬部外品)・化粧品の事例が多かったことだという。多くの化粧品広告が非承認になった理由の一つとして、一条氏は、化粧品の効能を示す使用者の体験談などが、広告からの遷移先のサイトに記載されていた点を挙げる。