【STEP5】戦略定義:目的・ゴール・戦略を定義する
最後にようやく戦略・施策を定義していきます。ステップ4で定義した顧客体験における重要ポイントを踏まえて、限られた自社のリソース(予算、工数など)をどこに集中的に投下していくかを考えます。
STEP5で定義したい要素は、大きく5つあります。以下をできるだけシンプルに言語化していきましょう。
1.目的:ビジネス全体を踏まえ、マーケティングを通じて実現すべきことは何か?
2.ゴール:戦略を実行する期間で、どこまで達成できたら目的達成できたと言えるか?(定量的に)
3.戦略:目的やゴールを達成する上で、フォーカスすべき局面はどこか?(3つ程度)
4.施策:戦略を十分に完遂するために、具体的に何を実行するか?(3つ程度)
5.KPI:各施策はどこまで達成したら完遂したと言えるか?(定量的に)
この中で、マーケティング責任者やチームにとって、重要な意思決定となるのが目的とゴールです。目的とゴールがずれてしまうと実際の戦略・施策や組織も大きくずれてしまいます。また、経営層や他の組織と認識を共有することも極めて重要です。ここで決めるものは、まさにマーケティング戦略を進めていくための羅針盤になるからです。
よくあるのは、マーケティングチームが掲げる目的やゴールが、事業成長に直接的に繋がっていないケースです。たとえば、ゴール=商談数と定義したにも関わらず、商談数が増えても、受注数や受注金額が増えないことはしばしばあります。ゴールが達成されても売上に繋がっていないならば、そのゴールの設定は正しくない、もしくは条件が足りていない可能性があります。
つまり、STEP5で定義した内容も、常に検証していくスタンスが重要です。組織や事業のフェーズによっては、ゴールを柔軟に変更することも問題ありません。ただし、その背景や目的が明確であり、組織にしっかりコミュニケーションされている必要はあります。
BtoBマーケティングにおいては、ファネルごとの目標数値を追いかけたり、カンファレンス? ホワイトペーパー? SEO? などと具体的な施策に議論が終始することも多いです。しかし、こうした施策は、定義した戦略を実行するための手段に過ぎません。ここまで、一気通貫して顧客中心でWHO、WHAT、HOWを定義してきました。繰り返しにはなりますが、WHO、WHATを定義してから、HOWについて議論を進めていきましょう。

BtoBマーケティング戦略と施策の連動
BtoBマーケティングの施策を実施する上で、当然のことではありますが、マーケティング戦略との連動性は極めて重要です。特にWHOとWHAT、すなわち顧客と提供価値に対して適切な施策を行っていくことを意識しましょう。
たとえば、「新規事業支援商材」のマーケティング戦略として、コア顧客=上場メーカー新規事業部責任者、独自価値=スピーディーにプロトタイプが作れる独自メソッド、と定義した場合、幅広い層にアプローチするディスプレイ広告の資料請求広告よりも、リアルな場での対面の新規事業ワークショップで新規事業の立ち上げ方について体験を提供するほうが顕在顧客にアプローチし、また価値を啓蒙できる可能性が高いと考えられます。
また、「タスク管理系商材」のマーケティング戦略として、コア顧客=スタートアップのビジネスパーソン、独自価値=リモートや多国籍でも使いやすいUXと設定する場合、一社一社電話でスタートアップにアウトバウンドするのは戦略的であると言えません。フリーミアムモデルでスタートアップのビジネスパーソンに幅広くアプローチできるカンファレンスやセミナーで安価にトライアルを獲得し、体験の中で価値を訴求していくほうが効果的である可能性が高いでしょう。
このように戦略、特にWHO、WHATによって最適な施策は大きく変わります。マーケティング施策は、一定の量が大切であるのは間違いありません。しかし、手当たり次第にBtoBマーケティング施策を実行していくのではなく、戦略に沿った施策仮説を立て、その中で検証改善を最大化し続けるスタンスが重要です。
