藤原ヒロシの中にある、マーケティングセンスを解き明かす
MarkeZine編集部(以下、MZ):最初に「FRAGMENT UNIVERSITY」を開校するに至った背景から教えてください。
藤原:元々、集英社の「メンズ ノンノ(MENʼS NON-NO)」で1995年から2006年まで連載していた「藤原ヒロシのア・リトル・ノーレッジ」の内容をまとめて書籍化するプロジェクトが動いていました。
その会議に皆川くんと小澤くんも参加していて「ビジネスと関連する部分も多いから、体系化して伝えてみてはどうか」というアイデアが生まれたんです。そこで、「FRAGMENT UNIVERSITY」という架空の大学を立ち上げてカリキュラムを組み、その講義の内容を書籍化するのが良いんじゃないかと。
皆川:元々、ヒロシさんは限定で商品を販売したり、独自性の高いコラボレーションを展開したりしていて、そこから学ぶ部分が多いなと思っていました。
小澤:今回「非言語マーケティング」をテーマに掲げていますが、皆川さんのようにヒロシさんの活動や連載、言葉から影響を受けたビジネスパーソンというのは多いと思っています。ヒロシさんが持つ独特なマーケティングセンスの正体を「FRAGMENT UNIVERSITY」を通じて明かしていきたいです。
マーケットが作ったモノに合わせてくれる
MZ:藤原さんは、マーケティングとはどのようなものだと捉えていますか。
藤原:これまで、マーケティングが何かというのは考えたことがないです。モノ作りに関しては考えてきたけど、完成したモノをどう売るかというのは考えてきませんでした。
作ったモノは誰のものでもないパブリックドメインみたいなものだと思っていましたし。また、どう売るかは皆川くんみたいなマーケターのお仕事だなと。
皆川:マーケティング用語にプロダクトアウトとマーケットインがありますが、ヒロシさんの作るモノってプロダクトアウトなのにマーケットがすり寄ってくるんですよね。世に出た時点で圧倒的にユニークなので広告などでプロモーションする必要がないんです。
また、ヒロシさんは限定販売の手法を広めたことでも有名なのですが、限定することで結果として大量生産した商品よりも多くの数を売ってしまう。マーケティングに関して考えたことがないと話していますが、商品作りの時点でマーケティングが完了してしまっているんです。
MZ:限定販売をしていたときは、何か狙いがあったんですか?
藤原:いや、狙ってやったわけではなく、他で販売してくれるところもないし、大量生産する余裕もなく、当時は周りに相手にされていなかったので限定販売するしかなかったんです。
小澤:ヒロシさんは世の中の逆を行く独自の視点を持っていますが、いつの間にかそれが世の中の表になっているんですよね。当時は相手にしていなかったブランドも、いつの間にかヒロシさんのセンスを求めるようになるんです。