LINE広告の担当者に聞く、近年の広告トレンドとユーザー意識の変化
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回はLINE広告の最新状況について、担当者である皆様にうかがいたいと思います。まずは簡単なご経歴と、現職の業務やミッションを教えてください。
黒岩:LINE広告の機能開発、管理画面改修などを担当しています。LINEに入社したのは2017年で、営業として直接クライアントや代理店と接してきました。その経験や知見を生かして、今の部署で働いています。
柿崎:LINE広告に関するクリエイティブのサポート業務を担当しています。広告代理店でクリエイティブディレクターを務めていた経験を生かし、現在は「LINE Creative Lab」という制作ツールの運営をメインで進めています。
相樂:柿崎さんと同じく前職は広告代理店ですが、現在はよりクライアントに近い位置でクリエイティブのサポートを行っています。クリエイティブトレンドの発信や代理店・クライアントへの提案が業務の中心です。
MZ:企業のマーケティング活動において、運用型のデジタル広告活用は成熟してきた印象があります。近年の企業のデジタル広告出稿においては、どのようなトレンド、意識の変化があるでしょうか。
黒岩:まず、個人情報規制に関する対応は、業種や業態を問わず意識が最も変化したトピックスだと思います。弊社も昨年、改正個人情報保護法への対応でユーザーに再同意をお願いしました。Cookie利用廃止の話もある中で、デジタル広告でも全体的に活用可能なデータは減っていくと予想されます。今後は限られたデータを、いかに活用できるかが重要になってきます。
また、生成AIに注目が集まった背景もあり、広告の運用もこれまで以上に自動化が進み、PDCAをより早く回しながら効率を高めていくようになると思います。つまり、運用の手間はかけず、クリエイティブに注力していく流れが強まっていくと考えています。
MZ:そうした潮流の中で、LINE広告の役割、LINE広告の強みをどのように見ていますか。
黒岩:役割自体は、他のプラットフォームと大きくは変わりません。ただ、LINEの圧倒的な月間ユーザー数(2023年6月末時点で9,500万人)と属性の幅広さは、依然として強みといえます。加えて、「配信面」の種類を拡大してきたことも大きなポイントです。LINE広告では、これらの「面」それぞれに合ったクリエイティブを作成することが成果を残すために重要で、その点も他の媒体と異なる特性かもしれません。
黒岩:わかりやすい例で説明すると、LINE広告では、「トークリスト」が最もユーザーから見られている配信面になります。昨年、このトークリストに「画像(アニメーション)」というフォーマットが配信できるようになりました。結果、約1年で配信効率という意味で高い数値が出ていて、直近の配信比率が急速に伸びています。このように、広告が配信される「面」ごとにユーザー属性や特徴が異なるため、広告の形式やクリエイティブを工夫すれば、リーチ拡大や新規獲得にも大きな影響が出るプラットフォームになっています。
一方、広告運用を成果につなげるためには、先述の通りPDCAの効率化、スピード感がとても重要です。そこで、LINE広告では2023年1月に広告審査体制の大幅アップデートを行いました。