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9ヵ月でフォロワー5万超を獲得 ピザハットに聞くTikTok運用勝ちパターンの見つけ方

 昨今では生活者のメディア視聴時間の中でもSNSが一定の割合を占めるようになり、マーケティング活動において無視できないものとなっている。しかし、企業アカウントを通じたコミュニケーションに取り組む際も目的達成までの設計は難しく、成長が鈍化してしまうケースは少なくない。日本ピザハット(以下、ピザハット)では、2023年春にTikTokアカウントの運用体制を変更。同領域で専門的な支援を行うLeading Communication(以下、LC)とともに、データに基づいたPDCAを回すことでアカウントを大きく成長させている。今回は両社の担当者に、日本ピザハットにおけるTikTok活用の目的、運用体制変更の狙い、パートナー選定のポイント、具体的な運用と効果などを聞いた。

「友達のような距離感」を重視したTikTok運用

MarkeZine編集部(以下、MZ):これまでの簡単なご経歴をはじめ、現職でどのような業務やミッションを担っていらっしゃるのか、お話しください。

フィギギ:私はマーケティング部デジタルオウンド課で、SNS担当をしております。以前はPR代理店で4年間、輸入代理店でインハウスプレスとして3年間のキャリアを経て、ピザハットに入社しました。

 ピザハットというブランドを広く認知していただくことを目指し、様々なシーンでピザハットを想起していただき、食べてみよう、買ってみようというアクション、ファン化につなげることをミッションに、日々SNS投稿を考えています。

 SNSはプラットフォームごとに特性があり、ユーザー層も違う中で、商品やキャンペーンの訴求の仕方やコミュニケーションの取り方を変え、いかにエンゲージを高められるかに注力しています。

フィギギ氏
日本ピザハット株式会社 マーケティング部 デジタルオウンド課 SNS担当 フィギギ麗花氏

井上:私たちLCの事業は、「クリエイターが消費される世の中を変えたい」という課題意識から始まっています。SNSでの一過性の人気で終わらせず、彼らの影響力をきちんと事業化して、経済圏を作っていくことで、継続的に稼げるような支援をするというプロダクション軸が1つのミッションです。

 もう1つ、縦型動画やTikTokを駆使して企業の課題解決方法を提案することで、縦型動画の時代におけるマーケティングの最適解を作っていくことをミッションとしています。

井上氏
株式会社Leading Communication SNSマーケティング事業部 取締役/事業本部長 井上光氏

MZ:ピザハットではマーケティングにおいてTikTokをどのような役割で活用されていますか?

フィギギ:今まで弊社はテレビCMや広告に注力してきましたが、広告色が強すぎると消費者にとっては“遠いブランド”になりがちです。その距離を埋めるためにはSNSが最もいい方法だと考えました。

 SNSの中でも特にTikTokは、ピザハットブランドをより身近に感じてもらえる「友達のような距離感」を重視して運用しています。そのため、当社のTikTokのアカウントは他社と比べても、弊社の他のSNSアカウントと比べても、かなりラフな内容です。

レポーティングや分析に課題 伸び悩んだピザハットに徹底的に寄り添った

MZ:日本ピザハットはTikTok活用施策のさらなる成長のため、2023年春に公式アカウントの運用体制を変更されたと伺いました。どのような狙いがあったのでしょうか?

フィギギ:ピザハットのTikTokアカウントは2022年4月に開設し、当初ブランドアンバサダーとの企画をはじめとする、強いコンテンツをたくさん用意できていたことで、フォロワー数3万くらいまではスムーズに増えていきました。

 しかし、そこからフォロワーの増加率、エンゲージメント数が伸び悩んできたのです。その背景には、運用設計に必要なレポートや分析がしっかりできておらず、PDCAが適切に回せていなかったことがあります。

 そんなときにLCさんから営業のお電話がかかってきました。通常、営業電話がかかってきてもすぐにお断りするのですが、LCさんからは、とにかく親身になって、弊社の状況を理解して寄り添ってくれようとする姿勢が感じられました。

 疑心暗鬼ではありましたが、1回くらい話を聞いてみようかなと思って臨んだ初めての打ち合わせで、弊社のアカウントを分析し尽くした上で「出演者もキャラ設定をした方が良い」「トレンドだけだと伸び悩んでいる」「それはピザハットの良さが活かされていないからだ」といった指摘と提案をしてくださったのです。まだ契約もしていないのに有益な情報を色々とくださったことに、弊社TikTokメンバー一同心をつかまれ、パートナーになろうと決断しました。

「パクチーすぎて草」「ウィンナーコーヒー」などTikTokノリに合った企画を実践

MZ:LCとしては日本ピザハットにどのようなアカウント運用支援を行ってきましたか?

井上:まだ何のお返事もいただいていない状況のときから、見える数値を全部出してみて、私たちなりに「ここに課題があるんじゃないか」という仮説を持てるレベルまで、徹底的に分析しようと考えていました。

 当時既に投稿されていた70数本を全部見て、再生数やコメント数などの数値を洗い出した上で、伸びている動画、あまり伸びていない動画の傾向を見つけに行き、根拠を持って今後の方針を提案させていただきました。

 そもそも各SNSはそれぞれ文化が異なり、TikTokも独自のノリや文化があります。そのため、ユーザーが「この人たちはTikTokのことわかっているね」と感じるアカウントはやはり伸びていきます。TikTokの企業アカウントの中でも、ピザハットさんはその点でポテンシャルが非常に高いと感じ、ぜひ支援させていただきたいと強く思いましたね。

MZ:運用を開始されてからどのようなコンテンツを発信されましたか?

フィギギ:わくわくするような様々な企画を提案してくださいました。特に「TikTokでしか見れないオリジナル商品の調理動画(無茶ぶり企画)」は、私達が商品開発をしていく上でもとても活かされています。TikTokチームの年齢層は若手が多いので、TikTokをはじめ他のSNSでも話題化するような新商品を考えていく中、実際に商品化することができたのがあの「パクチーすぎて草」のピザでした。

パクチー&ウィンナーコーヒー
左から、「パクチーすぎて草」を社長に商品提案する動画ウインナーコーヒーピザを作る動画(一部抜粋)

フィギギ:続いて発売が決定した「【衝撃】多分それ違うwwwウインナーコーヒー」は、コーヒーを飲んだことがない弊社社員が、ウインナーコーヒーとはウインナーが入っているコーヒーだと思っていたところから想起したピザです。SNSで調べてみると、思ったよりも同じ勘違いをしている人がいたので、これはもしかしたら話題化できるのではないかということで、ピザのミミにウインナーをつめ、生地にはコーヒーソースとホイップクリームを添えて、ウインナーコーヒーの「勘違い」と「正しい」が共存するカオスなピザができ、注目を集めることができました。

コラボ企画もスムーズ実現 9ヵ月でフォロワー数・エンゲージメントが倍増

井上:それらに加えて、コラボの提案もさせていただきました。YouTuberだとコラボは当たり前にされていますが、TikTok界隈ではまだそれほど数がないため、それを企業アカウントがやることはおもしろいなと思ったのです。

 企業間コラボというよりは、あくまで動画の中のコンテンツコラボという形でハードルを下げ、素材として商品を提供していただいてピザにするような、動画内に収まるコラボにしています。こうすることで投稿までスピーディーに進められました

コラボ動画
左から、「ゴーゴーカレー」とのコラボピザ動画「甘熟王バナナ」とのコラボピザ動画「たいめいけん」とのコラボピザ動画(一部抜粋)

フィギギ:また、以前TikTok企画で採用した「ラーメンピザ」のアイデアを商品化するために、2024年1月22日より「天下一品」と共同開発したコラボ商品「こってり風ラーメンピザ」の販売を開始しております。

井上:ピザハットさんはこういったおもしろい提案を採用していただける土壌がある会社さんだったため、私たちとしてもありがたかったですね。

MZ:今回の運用体制変更によってどのような効果を得られたのでしょうか?

フィギギ:2023年3月から新体制でスタートして、12月までの9ヵ月間で獲得したフォロワーは5万4,000人超。204%の成長を達成しました。コンテンツの投稿数は月当たり8本から12本に増やしました。再生数は前年同月比で117%、エンゲージメントは200%に増加しています。

 2024年3月までに12万フォロワーに増やそうという目標で、日々運用していて、2024年1月現在で約10万人と、本当に順調に推移しています。私たちとしては、以前と同じコストでフォロワー数は運用前と比較して2倍、成長率も2倍以上で運用できているので、感謝しかありませんね。

ピザハットらしさを活かし、勝ちパターンを発見できた

MZ:数値以外で副次的な効果はありましたか?

フィギギ:TikTokチームは社内でのプレゼンスがあまり感じられていなかった中で、日々の投稿を頑張ったり、他社さんやクリエイターさんとコラボしたりしていく中で、チームとしての評判が上がったと感じています。

フィギギ氏

フィギギ:たとえば採用課から、「採用に関してTikTokで何か訴求してもらえないか」という相談をもらいました。それをLCさんに持ちかけたところ、打ち合わせの場を作ってヒアリングしてくださって、様々な企画を出してくださいました。他部署の悩みもTikTokを通じて解決できるような施策ができたのは嬉しかったですね。

MZ:今回のアカウント運用を振り返り、改めて成功の要因はどのような点にあると思われますか?

フィギギ:コンセプトや方向性が迷走し始めていた弊社の状況を分析していただき、ウィークポイントを可視化し、「ピザハットらしさをどう吹き込んでいくか」に重点を置いて設計していただいた結果、「勝ちパターン」と呼ばれる動画企画を見つけられました。

 たとえばTikTokの若手メンバーにそれぞれのキャラ設定をすることで、受け取る側の情報がぶれないようにしたり、トレンド企画をなぞるだけではなくピザハットらしさを活かしたコンテンツに落としていったりすることで、エンゲージメントが本当に高くなったことを実感しています。

 LCさんは日々変わっていくTikTokのアルゴリズムにもスムーズに対応していく柔軟性を持っているからこそ、良い企画を持ってきてくださると思うので、それが一番の成功要因です。

 付け加えると、クリエイターさんを抱えながら運用代行もされている会社はそんなにないですよね。クリエイターさんを抱えているので演じる側の気持ちもわかるし、運用代行しているから企業の気持ちもわかる。本当に稀有でありがたい存在です。

TikTokから外の世界へとコミュニケーションを広げていく

MZ:今後のピザハットのマーケティングにおいてTikTokの場をどのように活かしていきたいとお考えでしょうか?

フィギギ:約9ヵ月間で、ピザハットをより身近に感じていただくという目標は達成できているのではないかと思っています。まだこちら側からの発信が多いので、2024年はフォロワーの皆様と相互の関係構築ができればいいなと思っています。

 具体的には、まだチャレンジしていないライブ配信機能を使ってみたり、フォロワーさんと交流できるオフラインイベントを企画したり、フォロワーさんへのアンケートを実施して、ご意見を伺えたらと思っています。企業・クリエイターさんとのコラボ商品なども含め、TikTokの外の世界へもどんどん広げられたらおもしろいですね。

 これからも「ピザハットっておもしろい、推せる」と思っていただけるように、良いコンテンツを配信していきたいと思います。

MZ:LCとしてはピザハットの挑戦をどのように支えたいと考えていらっしゃいますか?

井上氏

井上:私たちのミッションはピザハットさんのミッションを一緒に達成することです。これまでの約1年で認知を取り、想起していただくための再生数獲得はできてきたと思うので、来年は次のフェーズ。双方向のコミュニケーションや推してくださる方々のコミュニティを作っていくことを、TikTokを通して支援したいと思っています。

 デジタルで多くの人に触れて、そこで得られた認知をリアルの場に持ってくることで、デジタルとリアルを行き来してもらい、ファンを熱狂させること。この勝ちパターンを実現できるようにサポートしていきたいです。

TikTokアカウントを開設したい方&現状に課題感がある方におすすめ!

 「TikTokアカウントをはじめたいけど何からを手をつけたら良いのかわからない」「既にアカウントは運用しているけど、思ったように数字が改善されていかない」などのお悩みを持つ方や、本記事でLeading Communicationに興味を持たれた課題感をお持ちのご担当者様は、弊社サービスページからお気軽にお問合せ下さい。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Leading Communication

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/24 11:40 https://markezine.jp/article/detail/43644