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ウェルビーイング視点で捉え直す自社商品の価値 新規開発よりも「関係性のリデザイン」が必要

プロダクトをウェルビーイング視点で見直し、成長につなげた事例

 ここで藤田氏は「幸せの三段重ね理論」を紹介。この理論では幸せが三段階の積み重ねから成るとしており、下段に心と体の健康があると感じるセロトニン的幸福、中段に人とのつながりや愛情を感じるオキシトシン的幸福、上段に成功やお金に関するドーパミン的幸福があることを示す。藤田氏がウェルビーイングな状態に導く上で重要なファクターとするのは、二段目にある人のつながり・愛によって生まれるオキシトシン的幸福だ。

幸せの三段重ね理論
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 こうしたウェルビーイングの多面性が見られる事例として「ビール」が挙げられるという。ノンアルコールビールや糖質ゼロビールなどが開発されている背景には、ビールをネガティブに捉え、ネガティブ要素を取り除いた商品を価値として打ち出しているという価値観がある。しかし、藤田氏はこう問いかける。

 「確かにビールはヘルシーとはいえないかもしれませんが、飲むと楽しくなりますし、飲みに行くときには人が集まります。それによりドーパミンやオキシトシンが出るので、そう考えると、お酒もウェルビーイングな価値を持つ存在だといえるのではないでしょうか」(藤田氏)

 実際に、アルコール商品にウェルビーイング文脈を生かした事例が、アメリカからグローバルに広まっているビールブランド「バドワイザー」だ。彼らは「We exist to bring people together:人々を集めるために、我々は存在する」と掲げている。そして、コロナ禍で人がつながれない状況があった中で、パンデミック初期からバドワイザーを介して人と人をつなぐミッションに沿った支援を行ってきた。

 単に「アルコールを提供する」というところから、人が集うことで生まれる「ウェルビーイング価値」へと昇華させてブランドを伸ばした事例だ。

 また、過去に美魔女コンテストの初代プロデューサーを務めた藤田氏は、「参加する女性たちはなぜ、より美しくなりたいと思うのだろう」と考えた。直接聞いてみると、その回答から実際の願望に気づかされたという。

 「彼女たちがいうには『美しくなりたいわけじゃないんです』と。結婚して家庭を生活の中心としたら、外では『○○ちゃんのお母さん』『◯◯さんの奥さん』としか呼ばれなくなったと話していました。そんな自分の社会的なアイデンティティを、このコンテストを通して取り戻したい。彼女たちにとって美容は、フィジカル的に綺麗になるだけでなく、社会とのつながり、ウェルビーイングを取り戻すための行動でもあるということです」(藤田氏)

 これらの事例は、物理的な提供価値とは異なるスコープでブランド、サービスなどを見てみれば、新しい価値を創出できることを示している。

「新規事業は本当に必要なのか?」を問い直す

 「改めてウェルビーイングを中心に置くと、自分たちが今なぜウェルビーイング価値を提供できていないのか、何がずれてきたのか、何が今の提供価値として残っているのか、何を変えるべきかなどを考えることになります。お客様の『シアワセの全体像』を描けるんです。これを私たちは『ウェルビーイングアーキテクチャ』と呼んでいます」(藤田氏)

シアワセの全体像
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 藤田氏がいうように、今までの機能的・物理的な価値を、ウェルビーイングの視点から見直していくと、既存事業の価値も新たなものになる。

 インデグレートには、ウェルビーイングに関連した新規事業立ち上げの相談が非常に多く寄せられる。そのときにインテグレートからは「新規事業は本当に必要か」を問い返すという。「既存事業、既存ブランドを、ウェルビーイングという生活者の最大のインサイトからもう一度見てみるだけで、実は既存事業・ブランドでも、お客様を幸せにすることはできる」と藤田氏は強調する。

 これをインテグレートとしては、「企業と生活者の関係性のリデザイン」と称している。今ある関係性をデザインし直すことで、BtoB・BtoCともに、新しい商品開発や事業開発をしなくても十分に、価値提供できると考えているのだ。

関係性のリデザイン
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キシリトール急成長の裏側にあった「関係性のリデザイン」

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社インテグレート

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/26 12:00 https://markezine.jp/article/detail/43645

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