総再生回数が5,000万回超え 共感の声も多数
──拡散のための工夫があれば教えてください。
余頃:「踊ってみた」チャレンジでは、楽曲のテンポをTikTok用に少し速く編集しました。また、UGC数を伸ばすためにエフェクトの作成にも力をいれました。TikTokではクリエイターでない一般ユーザーも動画をあげており、その数は実にユーザーの半数以上とも言われています。そこで、一般ユーザーが使いやすいようにエフェクトはできる限り企業色が強いものを避けました。その結果、楽曲の歌詞が出てくる「歌詞エフェクト」と、バイトルのキャラクターであるネズミの耳がつけられるエフェクトを用意しました。
また、「踊ってみた」の最初の発信源になるTikTokクリエイターのキャスティングにも気をつけました。フォロワー数の多さではなく、ファンが一緒に踊ってくれるかどうかを重要視しました。このようにファンからの支持の熱さを考慮して、MINAMIさんをはじめとする5人のクリエイターをアサインしました。
森:MINAMIさんはダンスのプロの方ではないですが、だからこそユーザーがマネをするハードルが下がり、間口が広がったと思っています。「MINAMIちゃんが踊っているから自分もマネして撮ってみたよ」というニュアンスで投稿が拡散していきました。

──今回のプロモーションを実施して得られた、定量・定性的な成果を教えてください。
余頃:KPIとして、YouTubeでは楽曲の再生数、TikTokではUGCの件数を設定しました。TikTokも再生回数をゴールとして指標は見ていましたが、ユーザーが投稿した動画が多いほど再生数につながっていくため、UGC数をKPIに設定しました。結果的に、二つのプラットフォームの動画総再生回数は5,000万回超え、TikTokでのUGCはプラットフォームの平均を大きく上回る1,600件以上投稿されるという予想以上の成果となりました。アルバイトの職場で「踊ってみた」動画を撮ってくれるユーザーもおり、多くの人がブランドを認識した上で参加してくれました。

余頃:特にUGCに関しては、ブランドとして創出したくても中々上手くいかないことも多いですし、広告枠のようにお金を払ったら買えるわけではありません。だからこそ、我々が狙った通りにUGCを創出された今回の経験は今後の施策に活かせるという観点からもとても良い成果となりました。
播田:コメント欄にも「明日面接なんですが、背中を押されました」「はじめてバイトに一歩踏み出せた」といったアルバイトに関する投稿が複数見られ、プロジェクトの目的が達成できました。加えて、「広告ってわかっていても、良い歌だったから聞いちゃった」というコメントも多くあり、コンテンツへ昇華したと感じています。バイトルの“はじめてバイト”を応援する想いを、UGCの創出と拡散を促したことできちんとユーザー間に届けられたと感じています。
デジタル広告でも設計次第ではマスメディア規模のリーチができる
──今後の展望についてお聞かせください。
播田:今回の成功をベースに、企業からの一方通行ではない、ユーザーと共創するコミュニケーションによりこだわっていきたいです。また、プラットフォームごとの特性や界隈重視のコミュニケーション設計を積み重ねてブランドの価値を効果的に創出していきたいと思います。また、デジタルにOOHなどリアルの媒体を組み合わせたプロモーションにも挑戦していきたいと考えています。
余頃:SNSを横断してユーザーを巻き込む設計により、これまではマスメディアで狙うしかなかった大規模なリーチがデジタル施策でも可能になると今回の経験で実感しました。この仕組みは今後フレームワークとして活用でき、当社の企業ブランド支援においても大きな強みになると考えています。今後もデジタル広告を使ってマスメディア規模のリーチを出せるようにチャレンジしていきたいです。