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アフターコロナ 夏の娯楽施設の人流変化

コロナ前より人流が増えるショッピングモール、その理由は?

 多くの訪問地の人流がコロナ前の水準にまでは戻っていないのに対し、コロナ前以上に人流が増加しているのがショッピングモールです。図表3はショッピングモールの人流変化を示したものになります。すでに見た4つのカテゴリーと同様に来訪者数は2021年までは減少傾向にありましたが、2020年でも85%程度と、人流の減少は小さかったことがうかがえます。

 また2023年には、今回取り上げたすべての訪問地で2019年と比較して来訪者が増加していることがわかります。特にアウトレットAは2019年と2023年では人流が30%も増加しています。

図表3 ショッピングモールの人口推移(2019~2023年 8月休日14時台)モバイル空間統計(R)・国内人口分布統計人口データの数値は2019年を100%としたときの割合
図表3 ショッピングモールの人口推移(2019~2023年 8月休日14時台)
モバイル空間統計(R)・国内人口分布統計人口データの数値は2019年を100%としたときの割合

 ショッピングモールは、コロナ禍でも来訪者数の減少幅が小さく、直近ではコロナ前以上に多くの人が訪れています。これはどのような理由からでしょうか。まずコロナ禍でも来訪者の減少が顕著でなかった理由として、徹底したコロナ対策が挙げられます。各店舗では入口において体温測定を実施したり、密集が発生しないように一度に入れる人数を制限するなどの対策が行われていたりしました。

 また、食事スペースではテーブルにアクリル板を設置することによって対面での感染を予防するなど様々なコロナ対策を行われていることが減少幅が小さかった一因ではないかと考えられます。コロナ前以上に来訪者が増えている理由としては、先ほど述べたプールとは異なり、入場制限などの規制が解除されていること、遊園地のように事前にチケットを購入する必要がなく気軽に訪問できる施設が多いことが挙げられます。

 また、長いコロナ生活から明け外出の頻度が増えたことによる買い物需要の拡大も一因ではないでしょうか。

ショッピングモールの来訪者分析

 ショッピングモールの来訪者の増加について、さらに詳細にデータの分析をしていきます。図表4では、図表3にて特に来訪者数を伸ばしていたアウトレットAについて、2019年8月と2023年8月の14時台という条件で性年代別に来訪者数を示しました。

 まず2019年と2023年を比較してみると、すべての年代で来訪者数が増えていることがわかります。このことから、アウトレットやショッピングモールが幅広い層の夏の娯楽施設として人気が向上していることがうかがえます。ショッピングモールでは、買い物だけでなく食事を楽しむことや、期間限定のイベントなど様々な楽しみ方が可能になっています。

 また、ペット同伴で入店できる店舗もあるなど、誰でも気軽に来訪し楽しむことができる施設になっていることがコロナ回復後にショッピングモールが来訪者数を伸ばしている一因になっているのではないかと考えられます。今年は異常気象とも言えるほどの猛暑であったことから、クールスポットとしてショッピングモールが選択されるようになったことも来訪者を2022年から来訪者を大きく伸ばしている一因になっているのではないでしょうか。

 特に来訪者が増加しているのは20代です。2019年と比較して、男性は52%、女性は41%も来訪者が増加しており、他の世代と比較しても大きく来訪者数を伸ばしていることがわかります。このことから、コロナ以後はファミリー層での来訪だけでなく、20代が友達や恋人と訪れる際の選択肢として、遊園地やプールなどレジャー施設だけではなく、ゆっくりできるショッピングモールも挙げられるようになっているのではないかと考えられます。

 他にも人気アニメとのコラボイベントの開催や、期間限定スイーツなど若年層をターゲットとした施策の実施が20代の来訪者数を大きく伸ばした要因の1つであるのではないでしょうか。

図表4 アウトレットAの性年代別来訪者数(2019年、2023年)モバイル空間統計(R)・国内人口分布統計
図表4 アウトレットAの性年代別来訪者数(2019年、2023年)
モバイル空間統計(R)・国内人口分布統計

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この記事の著者

古茂田 翔(コモダ ショウ)

株式会社インテージ 事業開発本部 プラットフォームデータビジネス部 セールスエンジニア

武蔵野大学データサイエンス学部卒業。大学時代に位置情報データを活用したWebアプリを開発。2023年に大学卒業後インテージに入社し、位置情報データを用いてお客様課題の解決に従事。趣味は硬式テニスと小物集め。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/31 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43795

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