高度なノウハウ・スキルこそ、AIに置き換えられていく
──AIにより、マーケターの仕事やマーケター自身の価値にも変化が起こると思われますか?
普通に考えると、簡単な仕事ほどAIに置き換えられると思われるかもしれません。ですが、結局はその技術や知見、情報が高度であればあるほど、AIに置換しやすいのです。どういうことかと言うと、計算も難しければ難しいものほど、自分でやらないですよね。この20年くらいデジタルマーケティングの領域で高度だとされてきたノウハウやスキル、戦略コンサルティングなど高い価格で提供されてきた専門性の高いノウハウは、AIに置き換えが進むように思います。
一方で、ノウハウや知見が一部の人ではなく、すべての企業やマーケターに広がることは、たしかに良い変化だと言えるのですが、ノウハウやスキルがブラックボックス化してしまう懸念はあります。なので、AIで誰でも戦略を導き出せるようになったとしても、それによりビジネスを成功させられるかどうかは、別の話だと考えます。
総じて、AIも世の中の変化の一つに過ぎませんから、うまい付き合い方さえわかればよいのではないでしょうか。世の中には、AIとは言わずとも、同じようなオートマチックな技術が至るところに使われていて、それが悪になるか否かは、人間の考え方の問題です。たしかに、AIは進化が激しいので注視すべきとは思いますが、私個人的には、AIに対して過度に危機感を持つこともなく、過度に甘く見ることもなく、現時点では少々楽観的に見ているところです。
※パナソニックコネクトは、生成AIによる業務生産性向上と、社員のAIスキル向上、またシャドーAI利用リスクの軽減を目的に、OpenAIの大規模言語モデルをベースに開発した自社向けのAIアシスタントサービス「ConnectAI」を国内全社員約13,400人に展開している。