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MarkeZine Day 2023 Autumn

ヤッホーブルーイングとていねい通販に学ぶ、誰かの「推し」になるコミュニケーション設計

 近年はD2Cモデルの盛り上がりなどを経て、顧客との関係性の在り方を改めて見つめ直す機会が訪れている。コミュニケーションには何が求められ、企業は何を目指すようになっているのか。MarkeZine Day 2023 Autumnでは、D2C事業のコンサルティングを手がけるペンシルの関洋祐氏をモデレーターに、イベントを中心とした密着度の高いコミュニケーションで多くの熱狂的なファンを獲得するヤッホーブルーイングの佐藤潤氏、オリジナル商品の販売と丁寧なコミュニケーションで顧客との長い関係を構築しているていねい通販の戸田良輝氏を交えたディスカッションを実施。ファンづくりにつながる体験設計のポイントが共有された。

ファンとは「おとなりさん」であり同じ方向を向いてくれる「仲間」

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生活総合サービス(ていねい通販) 経営管理部 リーダー/ブランド企画部 リーダー 戸田良輝氏
ヤッホーブルーイング よなよなピースラボUnit(CRM設計・CXデザイン) Unit Director 佐藤潤氏
ペンシル D2C事業部 ゼネラルマネージャー 関洋祐氏

関:今回は、「ファン化につながるコミュニケーション設計」をテーマにお話を伺っていきます。初めに、両社にとってのファンの定義について解説していただけますか?

戸田:ていねい通販の戸田です。当社はサプリメント「すっぽん小町」をはじめ、主に女性向け健康食品や化粧品の通販ブランドを運営しています。お客様との関係づくりに強みを持っていまして、定期購買の月次継続率は94%を誇っています。

 数字以上に、その関係性の深さが特徴的で、最近では、お客様とのお付き合いが長くなる中で、私の花粉症を心配して事前に対策を促すお手紙を送っていただいたこともありました。SNS上では、お客様から自発的に「#ていねい通販さんありがとう」というハッシュタグが生まれ、サービスの感想を伝えてくれる方々がいらっしゃいます。

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戸田:お客様との目指すべき関係性を私たちは「おとくいさまではなく、おとなりさん」でありたいと考えています。それは、売上だけで判断するのではなく、親近感・距離感にも重きを置き、友人や知人のような関係性を目指しています。

 1人でも多く、1円でも高くと、数字を積みあげることに躍起になっていた時期もありましたが、現在は「1日でも長いお付き合い」というブランドポリシーを掲げて、その言葉通り、お客様と少しでも長くお付き合いが続くことが大事だと考えています。

佐藤:ヤッホーブルーイングの佐藤です。看板商品の「よなよなエール」をはじめとしたクラフトビールを製造、販売している会社です。

 私たちがお客様との関係で理想とするのは、「一緒にクラフトビール市場をつくる仲間」や同志のような関係です。だからこそ、製品の良さだけでなく、それに加えて会社の価値観にも共感・支持していただける方をファンと呼びたいと思っていますし、そうした関係性を目指しています。

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佐藤:戸田さんが話された「おとなりさん」と似ている気がしていて、売る・買うの関係よりももっと近い、同じ方向を向いている感がある存在がファンなのかなと思っています。

関:一般的に、購入金額や購入頻度で捉えがちなところを、ていねい通販さんは「おとなりさん」、ヤッホーブルーイングさんは「仲間、同志」というように人と人の関係性で定義されている点が共通していますね。

顧客設計で大事なのはファンづくりではなく「見つける」「つながる」姿勢

関:目指すべき関係性がどの程度できているかを判断するためには、お客様のロイヤルティの把握が欠かせないかと思います。これをどのようにして測っているのか、それぞれのやり方を教えていただけますか?

戸田:当社では、顧客ポートフォリオを「優良」~「新規」の7段階で設定しています。これらを決める基準として、お客様とのお付き合いの期間の長さ(初回購入日から最終購入日)と、累計売上の2つの項目を踏まえてカテゴライズしています。また3つ目の指標として、私たちが大事にしているのが、「今日の日付-最終購入日(ロス期間)」です。

 最終購入日から一定の期間が経つとお客様との関係性が疎遠になっている可能性を踏まえて「離脱」客としてカテゴライズされ、アラートが発生する仕組みになっています

 このロス期間という項目こそが、当社がお客様との1日でも長いお付き合いを実現するための指標となる訳です。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/43878

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