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顧客視点に潜む落とし穴とは?オイシックス奥谷氏と電通に聞く、顧客にとって「うれしい体験!」の作り方

 データを活用し、顧客の視点に立ったマーケティングに取り組んでいるつもりが、なぜか成果につながらないと悩む企業は少なくない。本記事では、オイシックス・ラ・大地の奥谷孝司氏と、電通でエンゲージメントコンサルタントを務める大前匡史氏、熊谷歌那江氏にインタビュー。顧客視点での体験設計をテーマに、企業が陥りがちなマーケティングの3つの落とし穴を見つめ、体験設計を事業成長につなげるカギ、「うれしい体験」について聞いた。

一過性でない、顧客が本当にうれしい体験を

MarkeZine編集部(以下、MZ):自己紹介をお願いします。

奥谷:オイシックス・ラ・大地で専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)を務めており、企業コラボ案件のサポートから新卒向けマーケティング講座の講師まで広く担っています。またEngagement Commerce Lab.と顧客時間では、大企業からスタートアップに至るまでDX支援を行っています。

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)/株式会社顧客時間 共同 CEO 取締役/株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役 奥谷孝司氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)/
株式会社顧客時間 共同 CEO 取締役/株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役 奥谷孝司氏

大前:電通でチーフ・クリエーティブ・ディレクターを担当しています。コピーライターとして、テレビCMや新聞広告の制作に携わり、現在は企業課題を解決するためのコミュニケーションプランニングから広告表現まで統合設計に注力しています。

熊谷:電通でエンゲージメントコンサルタントとして、クライアント企業に対してリアル・オンラインそれぞれの顧客コミュニケーションをプランニングおよびプロデュースしています。

奥谷:私は期間限定で電通さんのCXプランニング・センターのアドバイザーを務めさせていただきました。本日は、スパイク型(一過性の成果にとどまる型)ではなく、ストック型のマーケティングについてお話していければと思います。

顧客視点が企業視点にすり替わる?

MZ:マーケティングに取り組む上で、顧客の視点やニーズを理解することは不可欠です。しかし、それがわかっていても成果につながらない場合、どのような課題があるのでしょうか。

大前:デプスインタビュー(1対1のインタビュー形式で行う定性調査の手法)やネット調査を活用しながら、顧客に向き合っているクライアント企業は多いと思います。その一方で「広告施策を打ち出しても、売り上げがアップするのはその時だけ」と、継続性を生み出せないことに悩むクライアント企業は少なくありません。その原因は、マーケティングの検討を進めていくうちに顧客視点から企業視点にすり替わっていることだと考えています。

株式会社電通 CXプランニング・センター エンゲージメントコンサルティング部 チーフ・クリエーティブ・ディレクター コミュニケーション・デザイナー/CMプランナー 大前匡史氏
株式会社電通 CXプランニング・センター エンゲージメントコンサルティング部
チーフ・クリエーティブ・ディレクター/コミュニケーション・デザイナー/CMプランナー 大前匡史氏

大前:商品の認知を高めたい、これは当然のことです。ただ、認知にこだわりすぎて、商品名や訴求ポイントを伝えることに囚われてしまい、企業視点の一方通行なコミュニケーションになってしまう。そのような広告は、ターゲットから嫌われがちです。そのことを理解した上で、顧客視点で丁寧に考えた商品の提示をすることが重要です。

熊谷:顧客視点に立ったマーケティングを行うために、専用の部署を立ち上げるクライアント企業も見られます。そのような企業から「一生懸命データを収集したけれど、活用の仕方がわからない」「KPIをうまく設定できない」といったご相談をよくいただくことがありますね。また、会社の組織が縦割りであるがゆえに、顧客データが社内で統一されていない場合もあります。

株式会社電通 CXプランニング・センター エンゲージメントコンサルティング部 プランナー 熊谷歌那江氏
株式会社電通 CXプランニング・センター エンゲージメントコンサルティング部 プランナー 熊谷歌那江氏

MZ:奥谷さんはどう思われますか。

奥谷:一方向のコミュニケーションを、いかに双方向に、インタラクティブにしていくかが重要だと思います。

 企業が顧客と向き合い、共感を生み出せる場を醸成していくには、実は長い時間が必要です。そのため、短期的に結果を求める施策に終始するのではなく、長期的な視野を持って施策を打ち出していけるかがカギになるでしょう。具体的には、テレビCMなどのマスメディアを活用して認知を上げた上で、体験価値にしっかり注力して顧客と長期的な関係を築いていくイメージですね。

次のページ
「認知を取る」という考え自体、企業視点

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社 電通グループ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/43910

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