スターバックスの話題化力には「魔法」があるのか
木村:最近よく感じるのですが、SNSでの話題化が以前とはまた一段階違いますよね。僕のような属性のビジネスパーソンにも、季節限定の商品がしっかりリーチしています。この広げ方には、何か魔法があるんでしょうか?
森井:お客様が広げてくれているのですが、当然この広がりは狙っている部分もあります。SNSでの話題化に限らず、裏側にはロジックがあり、それがお客様からはマジックのように見える。これを「マジック」と「ロジック」と呼んでいて、この数年はロジックを強化してきました。
ただ、これは以前から行っていたことなので、木村さんが最近情報の届き方が違うと感じてくれているのであれば、「今なにを届けたいか」という我々のこだわりや思いの強さが以前より強くなっていることがあるのかもしれません。
NTT東日本で法人営業を担当した後、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BAT)に転職し営業とマーケティングに従事。BATの後に入ったユニリーバ・ジャパンには15年在職し、日本、中国、タイでマーケティング ヘッドを務める。2017年からスターバックスコーヒージャパン株式会社に入社し、2018年からCMOとして国内のマーケティングを統括している
特にコロナ禍以降は、商品の味であったり、テーマ性であったりをストレートに表現するようになっています。コロナ禍でたくさんのトライアンドエラーを繰り返す中で、我々のチームが自信をつけて、表現できるようになったのかもしれませんね。これは裏側の話ですが、魂を込めたものにはお客様もちゃんと反応してくれるのか、SNSでの反響はますます大きくなっています。
木村:スターバックスのマーケターの皆さんとお話しすると、スターバックス愛の強さに毎回驚きます。こだわりや想いなどが、やはり強いんですね。
森井:そうですね。やはり、自分たちにブランド愛がないと、魂はこもらないと思うんです。マーケティングで何かを企画する時は「なぜそれをスターバックスでやるのか」という視点を大事にしていて、商品にしてもコミュニケーションにしても、どこかに強いこだわりや想いを込めています。それをお客様が感じ取ってくれるか、評価してくれるかは定かではないけれど、ブランドのちょっとした違いを作っていくのは、結局はこういうカルチャーなのだと。この点については確信しています。
