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ブランディング先進企業に学ぶ、マーケティング戦略としてのブランディング

スターバックス「CMO」が「CRMO」に。人を中心にビジネスを展開する組織戦略としてのブランディング

 書籍『ブランド・パワー ブランド力を数値化する「マーケティングの新指標」』の著者・木村元による本連載。この連載では、著者が本書を執筆する上で影響を受けてきた方やブランドマーケティングの進展を考える上で話をしてみたい方と、対談を重ねていきます。第2回は、ユニリーバ時代の著者の上司だった、スターバックス コーヒー ジャパンのCRMO 森井久恵さんをお訪ねしました。今回の対談はちょうど森井さんがCMOからCRMOになられたタイミングで実現! スターバックスのブランドマーケティングのこれまでとこれからについて、伺ってきました。

スターバックス CRMOが考える「ブランドの存在意義」

木村:私がユニリーバで営業からマーケティングに異動になった時、森井さんはヘアケアカテゴリのリーダーをされていて、当時からかなりパワフルでいらっしゃいました。そんな森井さんに今日はブランディングに関するお話を色々伺いたいと思っています。

【左】株式会社Brandism代表取締役 木村元氏【右】スターバックス コーヒー ジャパン株式会社 Chief Retail and Marketing Officer 森井久恵氏
【左】株式会社Brandism代表取締役 木村元氏
【右】スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 Chief Retail and Marketing Officer 森井久恵氏

 いきなり本題に入りますが、森井さんが考えている「スターバックスのブランドの在り方」とは何でしょうか?

森井:ブランドって何だろう? と考えた時に、「こういうことかもしれない」と思えた出来事がコロナ禍にあって。

 日本がコロナ禍に移行していくタイミングだった2020年4月に、スターバックスは国内約1,200店舗を休業しました。当時、コロナはまだ全く得体のしれないウイルスでしたから、「自分の子どもが店舗のパートナー(従業員)だったら、こんな不安な状況でお店に立たせることはできない」と、緊急事態宣言を踏まえどこよりも早く決断した形です。そこから急ピッチで店舗の感染対策を進めたので、結果的には、緊急事態宣言が明ける前に店舗の営業を再開させることができました。

 そうして営業を再開した直後、とあるラジオ番組のパーソナリティが「久しぶりに今日は街が明るいなと思ったら、スターバックスが開いていた」とお話しされていました。この話題はニュースにも取り上げられ、「日常が戻ってきた感じがする」「久しぶりに元気をもらえた」「顔見知りのパートナーに久しぶりに会えた」など温かな会話が店舗やSNSなど各所で広がりました。Twitter(現X)では「#スタバ営業再開」がトレンド入りするほどでした。

 この光景を見た時に、「スターバックスの存在意義とは、このように人々の生活に溶け込み、気持ちをupliftすることなのかもしれない」と体感したんですね。

木村:素敵なお話しですね。

森井:創業者のハワード・シュルツの「私たちはコーヒービジネスを展開しているのではない。コーヒーを提供するピープルビジネスを展開しているのだ」という言葉がありますが、スターバックスのマーケティングを考える上で、この言葉は常に自分の根底にあります。これこそが、スターバックスにおけるブランドマーケティングであり、昨今の時代の移り変わりを見ていても、“人”の重みがますます増していくというのは社会全体の流れであるようにも思います。

 私の仕事は、商品を作ったり、プロモーションを打ったり、デジタルを通じてお客様の体験を高めることですが、それらはいずれも一つの要素にしか過ぎません。ビジネスの中心にいる“人”がそれらを生きたものにして、お客様や地域とのつながりを生み出していく――カフェという業態で、リテールという手段を用いて、この繋がりを創っていくのが、スターバックスのブランドマーケティングだと考えています。

木村:人を中心に据えるというスターバックスのブランドの在り方は、世界各国で共通なんでしょうか?

森井:そこが出発点ですから、国が違えど基本的には変わりません。ただ、その体現の方法は各国に任されていて、ビジネス展開についてはローカライズされているのがスターバックスの特徴です。“人”を中心にやっていますから、ビジネスの広げ方もその国ごとに合ったアプローチがあるだろうという考えですね。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/43994

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