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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

ソーシャルリスニングから見るSDGs最前線

ブラックサンダーに学ぶ、エシカル消費へつなげるSDGsアクションとは

エシカル消費をスタンダードにするために

──実際に生活者のエシカル消費に関する意識はどの程度高まっているのでしょうか。

足立:話者が生活者に変わってきていることに加え、昨今クラウドファンディングに代表される「応援消費」が増えています。単純なおいしさやうれしさだけで購入するのでなく、商品の背景を知って社会貢献したいという意識が生活者の中に芽生えてきています。

 さらに、10年前は堅苦しく“意識高い系”のイメージがあったフェアトレードも、有楽製菓さんをはじめとした、企業の取り組みのおかげで、生活者にカジュアルかつポジティブに受け入れられるようになってきました。今後もこうした雰囲気を醸成していくのが大事かなと思います。

──生活者のエシカル消費をスタンダードにするために、これからできることは何だとお考えですか。

牧:当社ができることは、どんな社会問題が起きているのか正しく伝えることが重要だと考えています。先述のスマイルカカオプロジェクトのWebページのリニューアルもその一つです。活動の仕組みや目標、背景にある課題を企業側から生活者にきちんとお伝えすることが大事だと思います。

足立:コミュニケーション・広告領域をお手伝いする立場からすると、先進的な取り組みをしている有楽製菓さんをはじめとする企業をヒーローにしていく文化作りが重要だと考えています。また、企業同士の共創を促すお手伝いができたら、よりインパクトの大きい施策展開に貢献できるのではと意気込んでいるところです。

牧:当社はNGO団体のACE(エース)さんと連携して、カカオ農園の管理などをお願いしています。一方ACEさんは生活者に児童労働の実態が知られていないという課題感を持っていらっしゃいました。そこで、ブラックサンダーというお菓子をイベントで配っていただくなど活用してもらっています。ブラックサンダーが児童労働を考えるきっかけになれる機会があって、我々としてもありがたいです。

企業間での共創を図り、解決すべき問題に取り組む

──業界を変えるきっかけを作りだした有楽製菓さんですが、社会課題を解決するために企業間が共創していく上で感じる課題はありますか。

牧:スマイルカカオプロジェクトは自社のみで進めていて、他社とのコラボレーションはまだありません。他社と共創する場所や情報交換の場所が少ないという課題はあります。

 当社は国際協力機構(JICA)が主催するサステイナブル・カカオ・プラットフォームに参加しており、他の参加企業さんと話す機会もあるので、今後はそういう場をもっと活用して企業間での共創を図れたらいいですね。

 カカオビジネスは、児童労働などの人権問題だけでなく、環境問題もはらんでいます。カカオが抱える問題を深掘りして考えていかなければならないので、次はどんな打ち手が必要なのか一緒に考えていければと思います。

──最後に、エシカル消費・SDGsの取り組みに関する、今後の展望や展開を教えてください。

牧:スマイルカカオプロジェクトでは、2025年までに有楽製菓の全てのカカオ原料を児童労働に頼らないものに切り替える目標を掲げています。実はすでに、9割以上のカカオ原料が切り替わっている状況です。達成した後は、環境配慮の活動にも取り組んでいきたいと考えています。

足立:我々はSNS上の様々な投稿から、SDGsアクションを加速させるインサイト抽出を試みており、これまでの連載記事でご紹介した多くのヒント発見につなげることができています。

 しかし発見するだけでは足りません。それらをうまく活用して課題解決のアクションに転換していくのかが何よりも重要です。そのためにも、企業・パートナーと共創の輪を拡大していきたいと思っています。

 また、これは私個人の展望ですが、ソーシャルリスニングは世の中を考察する一つの切り口に過ぎません。今後、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティを強化するためにも、ESG経営の観点で企業様をサポートできるようになると、よりインパクトのあるアクションにつなげていけると考えています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44168

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