テレビCMにないCTVの魅力「フットワークの軽さ」とは?
安成:一方で、テレビCMを出稿してきた企業目線ではいかがですか。
池田:テレビの大型画面を通じたコミュニケーション効果は他のデバイスでは補えません。テレビの視聴量が減少傾向にある実態を受け、それを補う選択肢としてCTVを検討する企業が増えています。
また若年層へのリーチが課題となる企業にとっては、ターゲティングがしやすいCTVを活用することで、強化したい層に狙いを定めてコミュニケーションできます。出稿量などの軌道修正もしやすいので、CTVはテレビCMに比べフットワークが軽いメディアです。
篭島:数パターンのクリエイティブを試して、テレビ画面において効果的なものがわかれば、テレビCMにも活用できます。以前はローカル局でCMのテストを行うケースが多かったのですが、今はCTVで試す手法も増えています。
安成:実際にCTVで広告出稿を行う場合にどんな課題が存在し、どういったことがポイントになるのでしょうか。
横野:CTVに限らず新しいメディアを活用する時は、どのくらいの効果が見込めるのか、社内でも説明が求められます。そのため、仮説を立てて検証しメカニズムを明らかにするステップが必要となり、仮説と検証の設計を個別にカスタマイズして進めることが重要になります。
篭島:多くの企業が、テレビとデジタルで組織が分かれているかと思います。CTVを活用する際は、両方の部署をまたいだメディアプランニングや効果検証も必要になってきます。
安成:ユーザー目線では地上波もCTVも区別せず同じコンテンツと見なしますから、施策の一貫性があるかどうかも大切ですよね。
CTVを含めたメディアプランニングや効果検証を実現
安成:まずはメディアプランニングについて、伺っていきます。電通のプランニングツール「クロスメディア・プランナー」がCTV配信のシミュレーションにも対応したというリリースが先日(2023年11月)出ていましたね。
池田:クロスメディア・プランナーは、リーチ基準でプランニングする際に、適切な予算配分を行うツールです。テレビデバイス内で広告予算を最適化したいというニーズに応えるため、TVer、YouTube、地上波テレビCMの3つにおいて最適な出稿プランの作成が可能になりました。
トータルリーチ最大化を目的としたプランニングはどのような商材でも重要です。クロスメディア・プランナーはターゲットを自由に設定して集計できる仕組みのため、ターゲットに応じた適切な予算配分がわかります。あらかじめ特定の配分比率を決めてリーチを検証することも可能です。
このようなシミュレーションをしないと、効果検証調査のサンプル数を確保するために出稿量を調整する事態に陥りかねません。「生活者にどれだけの効果をもたらすか」という根拠に基づいて、適切な予算バランスを決められるツールがクロスメディア・プランナーなのです。
安成:効果検証についてはどうですか。
池田:出稿データとレスポンスデータ(Webサイト来訪、自然検索など)を紐付けて検証する効果検証ツール「MIEROレスポンスコネクター・ダッシュボード」を当社では提供しています。対象となるメディアには、地上波テレビ、YouTube、TVerの他、新たにABEMAも追加されました。メディアを横断して比較できるだけでなく、どのクリエイティブが最も効果的かを検証することも可能です。