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MarkeZine Day 2025 Retail

先進的なCRMを実践する事例大全

ID統合やECリニューアルから紐解く、パルコのCRM戦略──「感性の時代」に顧客と深くつながるには

越境ECやオンラインを活かした企画……パルコが見据える、顧客ともっとつながる取り組み

MZ:サイトリニューアルにあたって意識されたことや、リニューアル前と比べた影響を教えてください。

上岡:リニューアルにともない、販売メニューが拡大したことは特筆すべき点だと思います。2023年3月からの半年間で、新たに付加した販売機能における取扱高が全体の20%強まで伸びました。

 当社では、昔から話題作りやオリジナル企画によって差別化を図ってきた歴史があります。リニューアル以降もインフルエンサーとのタイアップ企画や出店ブランドとITコンテンツを掛け合わせたオリジナル販売、全国拠点でのローカル企画など、オンラインで全国の方々の関心を集める取り組みを続けています。

 もう一つ、今後力を入れたいのが越境ECです。リアル店舗でも渋谷PARCOなどを中心に、海外からの来店客が増えています。日本のPARCOを訪れた方が、母国に帰った後も継続してECを利用いただけるような環境作りを目指しています。

MZ:パルコのCRMの全体戦略において、PARCOメンバーズとONLINE PARCOはどのような位置付けなのでしょうか?

安藤:PARCOメンバーズは、登録いただくことがお客様からリピートやつながる意思表示をしていただいたと捉えることもできます。パルコとつながりたいと登録してくださった会員様の期待に応え、より好きになっていただくための環境をご提供するため、接点の一つとなるのがONLINE PARCOです。

 たとえば、店頭でランク別サービスの提供時にはランク確認という何かしらのオペレーションが発生しますが、オンラインであればログインすることで把握ができ個別サービスが提供できます。そのためONLINE PARCOは、個々に価値ある会員サービスを提供する上で重要なタッチポイントになるといえます。

CRMは、モノ・コト時代の先にある「感性の時代」に貢献すべき

MZ:CRM施策を推進する意義や価値について、どうお考えですか。

安藤:我々がCRMを通じて成すべきことは、お客様にパルコに共感していただき、新たな価値を提供していくことだと考えています。お客様のニーズを探り当て、提供すれば満足してもらえた「モノ・コト時代」のフェーズが終わり、今はより心理的・文化的な部分に価値を見いだす「感性の時代」に入ったと感じます。

 欲しいモノやコトよりも、共感できることや人生を豊かにすること、そしてモノが届いた時に生まれる感情に目を向けること。CRMは、そうした点でお客様とつながり、パルコを好きになっていただくことに貢献すべきだと考えています。

上岡:確かに当社もPARCOポイントが始まる以前は、PARCOカードを主軸に新規会員を増やし、いかにモノ・コトを買ってもらうかに主眼を置いていました。しかし安藤が述べたように、今後はお客様のニーズの背後にある文脈まで知ることが求められ、そのためにはより深い顧客理解が必要です。

 モノ・コトで満たされた時代を経て、その先の価値を提供するため、より高度なCRMに取り組んでいく。それがパルコの向かうべき未来だと思います。

MZ:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

安藤:今後は世の中の多面化・多様性への対応が、より必要になると感じます。ですから、お客様を型にはめることなく、柔軟性を持った顧客理解が大切です。その先にあるのは、グローバルを見据えた展開。海外の方が日本に来た時に「PARCOに足を運びたい」と思ってもらえるように、あるいはリアルのPARCOに訪れることが難しくても、デジタル上でパルコの魅力やカルチャーを知ってもらえる試みをしていきたいですね。

上岡:私は2003年の入社以来ずっとPARCOに関わってきましたし、安藤は他社で長くCRMに携わった経験を経てPARCOに関わっています。そうしたそれぞれの強みを組み合わせることで、色々なサービスの提供が可能になっていくと思います。今後はそういったシナジー効果を発揮しながら、社内だけでなくグループの垣根までを越えた取り組みによって、お客様に新たな価値を提案することを考えていきたいです。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44208

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