※本記事は、2023年12月刊行の『MarkeZine』(雑誌)96号に掲載したものです
【特集】2024年・広告の出し先
─ 2024年広告業界5つの予測。事業会社も広告会社も「改めて考える」ところからスタートを
─ CTVの利用が定着した今、改めて押さえておきたいTVerの可能性(本記事)
─ 注目媒体の最新トピックス:勃興期から実運用へ。リテールメディアのリアルな現在地
─ 注目媒体の最新トピックス:LINEヤフーの発足で広告プロダクトはどう変わる?
─ 注目媒体の最新トピックス:DOOHの出稿率伸長の背景 モーメントを捉えられる唯一無二の媒体へ進化
─ ブランディング・パフォーマンス双方で活用進むTikTok広告の現状とアップデート
─ 広告プロダクト数は1年で3倍に、フルファネルで広告機能拡充を進めるPinterest
─ 質の高い1st PartyデータとCopilotの広告で差別化を図る、Microsoft広告の現状
─ 1日731分もスクリーンを見ている生活者のメディア環境
─ 注目の媒体トピックスまとめ/リテールメディア、DOOH、Microsoft、TikTok他6媒体
目的視聴からなんとなくTVerへ
──2023年は日本でもCTVの視聴利用および広告出稿が浸透したように感じられますが、お二人は1年を振り返ってみていかがですか?
蒲地:私もCTVが人々の生活に定着したと感じます。テレビの結線率(インターネットに接続しているテレビの割合)が全国的に伸び、TVerのデバイス別動画再生数においてCTVが占める割合は約3割を超えました。TVerの再生数とユニークブラウザ数も増えているため、その中の約3割と考えると伸びは明白です。ちなみに2023年10月の月間ユニークブラウザ数は3,046万で、4ヵ月連続記録を更新しています。
蒲地:Amazonが発売するFireTVシリーズ用のリモコンにTVerボタンが搭載されたことも2023年の主要トピックでした。視聴者にCTVでTVerをまず選んでもらうためには、デバイス側への働きかけが不可欠です。当社では専門チームを設けて、メーカーとの交渉を進めてきました。
甲斐:リモコンへのボタン搭載はABEMAも力強く取り組んでユーザー数を大きく伸ばしていた印象です。TVerのMAUもこれによってさらに増えていくのではないでしょうか。
蒲地:ユーザーの視聴態度にも変化が見られました。特定の番組を見るためにTVerを訪れる「目的視聴」が主流でしたが、最近は面白いコンテンツを探しにTVerを訪れる方が増えています。当社としても地上波テレビのように目的なく訪れて楽しむ“なんとなくTVer”を目指しているため、なるべく長く滞在していただけるよう新旧コンテンツの拡充に注力しているところです。
甲斐:これまではテレビというデバイスに対して地上波のCMしか打ち手はありませんでしたが、最近はCTV広告を一つの手法としてプランニングに組み込めるようになりました。効果の見やすさやPDCAの回しやすさ、素材差し替えの柔軟性という観点において、テレビデバイスにより出稿しやすくなったと言えるのではないでしょうか。
当社が社内組織「CTV LABO」を立ち上げた2021年当初に比べると、現在は広告主からCTV広告の引き合いが圧倒的に増えています。広告主の業種や相談内容も多岐にわたり、CTV広告市場の活況を肌で感じているところです。