事例第一号は日本コカ・コーラ
──2023年8月に実施した日本コカ・コーラの事例について、詳細を教えてください。
毎週月曜から金曜の夕方に放送している「FNN Live News イット!」内の気象情報コーナー「ソラよみ」で両サービスを実施しました。まずは、マルチスタンバイCMによって気温をフックに素材の当日選択を実現した例です。あらかじめ「アクエリアス」「アクエリアス NEWATER(ニューウォーター)」「やかんの麦茶 from 爽健美茶」「綾鷹」のCM素材をスタンバイし、放送日当日に発表される天気予報で気温が一定の基準を超えた場合はアクエリアス、超えなかった場合は爽健美茶や綾鷹などお茶の素材を選びました。

さらにダイナミックボーダーフレームによって、コーナーの冒頭10秒間だけアクエリアスの広告画像を本編中に表示しました。翌日の予報が関東全域で晴れの場合は「明日は晴れて暑いから」というテキストを表示し、晴れ以外の場合は「明日も気温が高いから」と表示することで、素材の出し分けも行えるようにしました。

──なぜ10秒間だったのでしょうか?
社内で何度も議論を重ねながら適切な秒数を探った結果、視聴体験を阻害することなく広告画像の情報を届けられる秒数が10秒でした。天気図と被らないよう、広告画像を表示するタイミングはキャスターとガチャピンのツーショットが映し出されるコーナー冒頭のみとしました。
同じ1GRPでも単純なCM出稿より価値がある
──今回の事例を通じて、どのような成果が見られましたか?
最近は生活者が大量の情報に接触している背景から「純広告の効果を以前と同等に実感しづらい」「これまでと同じGRP(※)やリーチであっても、以前ほど認知を獲得しづらくなってきた」という課題をお持ちのスポンサーもいらっしゃいます。そんな中、マルチスタンバイCMで視聴者の感情や体感に合わせた素材を選ぶことにより、同じGRPでもテレビCMがもたらすインパクトを高めることができました。
※Gross Rating Pointの略。一定期間に放送されたテレビCMの視聴率を合計したもの
日本コカ・コーラ様からは、気温と相関が高い清涼飲料水と気象予報コーナーの連動に可能性を感じていただけました。今回は夏の盛りに実施しましたが「気温の変動が大きい時期に実施すれば、さらに高い効果が見込めるかもしれない」と期待するお声も頂戴しています。
通常のテレビCMの場合は、番組本編とCMでパートが分かれているため、視聴者のマインドも自然と切り替わります。その点、ダイナミックボーダーフレームなら本編のコンテキストのままに広告情報を伝えることができるのです。日本コカ・コーラ様からは、CM以外の場所でもブランドコミュニケーションを図れる点に「価値を感じた」とおっしゃっていただきました。