リテールメディアでファネルごとに適したメニューを提供
イオンリテールが提供するリテールメディアでは、各ファネルに沿って様々な広告メニューを提供している。外部メディアで広告配信をする「Aeon Ad」では、アプリの顧客データを使い認知から購入までのファネルをカバー。それとは別に店頭のサイネージや公式のアプリ、SNSを広告に活用する。
ファネルの認知と興味・関心のフェーズでは、店頭のデジタルサイネージやビーコン、アプリでのスプラッシュバナー(アプリの起動時に表示する静止画広告)や無料クーポンといったメニューを提供。比較・検討、購入フェーズでは、アプリでの値引きクーポンやクーポン連動LP企画を展開。継続購入のフェーズではアプリでのマストバイキャンペーン、ユーザーからの商品紹介・発信のフェーズではイオン公式SNSといったメニューを提供している。
スプラッシュバナーを配信する際には、ターゲットを絞ってセグメントすることで、顧客のニーズに沿った情報を届けられる。たとえば、特定の商品をいつも買っている人をセグメントして、その商品のリニューアルや新フレーバーのお知らせなどを配信するといった使い方ができる。また、認知向上のための施策であれば同様にセグメントを絞って無料クーポンを配信するという利用も可能だ。
比較・検討、購入フェーズでのクーポン連動LP企画は、商品とクーポンを紹介するLPを制作する。
「LP制作では、単なる商品やクーポンの紹介とせず、お客さまの課題解決となることを意識しています。たとえば『梅雨のジメジメした部屋干しの匂いは嫌ですよね、こんな解決方法があるので試してみませんか?』と、梅雨にニーズのある商品とそのクーポンを紹介します」(田中氏)
継続購入のフェーズのマストバイキャンペーンとは、たとえばこの商品を5個買うと1個無料になる、あるいは期間中に1,000円以上買うとクーポンがもらえるといったものだ。そうして継続購入を促進することで、ブランドの認知度や好意度を上げる施策となる。
「マストバイキャンペーンでは、キャンペーンサイトに店頭では伝えきれない商品の良さや特長を掲載しています。お客さまの商品への理解を深められますし、購入後には『あと2個買うと特典がもらえますよ』といったメッセージを送れます。お客さまは忘れずにキャンペーンに参加でき、我々とメーカーさまにとっては再購入の促進となり、三者にメリットがあるメニューだと考えています」(田中氏)
広告接触で購買数+383pt上昇 施策のミックスが成果を伸ばす
ここでは事例として、認知、興味・関心フェーズに向けた、菓子メーカーの施策を紹介する。主に既存顧客、それに加えて新規顧客の獲得を目的とし、アプリのスプラッシュバナーに広告掲載を13日間行った。また、一部でクーポンも配布し、さらに店舗で目立つ商品棚「エンド」と呼ばれる場所で商品展開を実施した。
スプラッシュバナー広告の配信セグメントとしては、(1)自社商品の既存ユーザー、(2)同カテゴリ商品を購入していた新規ユーザー、(3)菓子部門商品を購入していた新規ユーザー、(4)その他指定のデモグラによる新規ユーザーの四つを設定した。
施策の結果を購買リフトで見てみると、スプラッシュバナー広告の配信前と配信中で広告接触者の購買数は692%上昇した。一方で対象商品全体の購買数は、309%上昇となった。つまり全体の購買データと比較すると、広告接触により+383ポイントの効果を確認できた。
続いて四つのセグメント別で広告接触者の購買数を見てみると、すべてで伸長が見られた。(3)(4)のセグメントは元々の配信前の購買数が高くなかった。これだけの成果が出たのは、スプラッシュバナー広告だけによるものではない。
「スプラッシュバナーのみを展開していた際もしっかり伸長し、平日は200%、土日は160%のリフトが見られました。それに加えてクーポン配信やエンド展開をした期間は広告接触者の購買数が最も高くなりました。このように施策をミックスして展開し、施策全体の効果を検証してPDCAを回していくことが、効果を上げるためには大切だと考えています」(田中氏)
