Aeon Adのレポートでわかる効果の実数
ファネルの認知から興味・関心、比較・検討フェーズのメニューとして先ほど紹介したAeon Adは、アプリの購買や属性データを活用して、外部メディアに広告配信できる仕組みのことだ。広告配信時に、実際の購買データに基づいてターゲティングができるのが特長となっている。そしてレポートでは、ターゲティングに沿って、広告に接触した人の店舗での購買実績を検索できる。
たとえばヘルスケア商品を訴求するためのセグメントとして、以下の三つを設定したとする。(1)健康食品カテゴリを過去3ヵ月間に3回以上購入した人、(2)幼児衣料を直近3ヵ月以内に5000円以上購入した人(子どもがいるファミリー層に認知を図りたいため)、(3)特定商品について過去半年間で購入実績がある人。Aeon Adでは、抽出された各セグメントに対してYouTubeなどで広告配信を行い、広告に接触した人が実際に購入したか否かの実数がわかる。
この広告のレポートでは、広告効果から購買効果までを一気通貫して可視化できる。具体的には広告の表示回数やリーチ数、フリークエンシー数、クリック数、CTR、CPCといった通常の広告配信レポートに加え、広告接触者の購買者数や購買率、購買回数、購買リフトといった実購買データの全数がわかる。さらに広告配信前、配信中、配信後の広告接触者の購買推移や新規・既存の顧客構成比を見られる。
加えて、広告配信した各セグメントの購買リフトも見ることが可能だ。対象商品全体の購買数量の伸長率と比較して各セグメントが広告配信期間にどれくらい伸長したのかということを比較できる。
また、広告商品ごとにイオンのお買物アプリの会員全体と比較した、広告接触者の新規・既存、性・年代別の購買レポートも見られる。
「ご要望に応じて、さらに深掘りしたレポート・分析をすることも可能です」(田中氏)
テレビCM視聴データと掛け合わせ、メディア別の効果を把握
Aeon Adの応用活用として、テレビCM視聴データとYouTube広告を掛け合わせることもできる。電通のテレビCM視聴データ「STADIA(スタジア)」とYouTube広告接触データ、イオン購買データ(Aeon Ad)をつなぎ合わせることで、テレビCMとYouTube広告を出稿したことによる、実店舗での購買効果がわかるようになるのだ。
レポートでは、テレビCMのみ、YouTube広告のみ、重複といったクロスメディアでのリーチボリュームを把握できる。これにより、たとえばYouTube広告を実施することで、テレビCMだけではリーチできなかった層をどれくらいカバーできたのかといった検証が行えるだろう。
さらに各メディアでの広告接触と購買率の関係性も見られる。ここから、どのメディア接触の組み合わせが一番効果的だったのかといったことが、数値に基づいて把握可能だ。
「商品の販売促進において、メーカーさまから広告費をどのメディアにどれくらい配分するのが適切かわからないという声を多くいただいていました。Aeon Adの応用活用でわかるデータは、次年度の広告予算の最適化を図るためや、マーケティングのPDCAを回していくための参考値としてご活用いただけると考えています」(田中氏)
田中氏はメーカー企業の課題に対してリテールメディアが新たな解決手段となる可能性を示し、講演を締めくくった。
