選手・監督まで、全員がプロジェクトに関わる
MZ:Z世代と共創プロジェクトなどを行う際、企業の担当者のリソースをどの程度割けるかという点も課題です。貴社では山﨑さんの他に、どんな部署の方が携わっていましたか。
山﨑:これはプロジェクトのカギだと考えているのですが、私たちは会社の全員が関わっています。社長がプロジェクト責任者となり、運営や営業などすべての部署がU-23マーケティング部のバックアップをしました。さらに社員だけでなく、トップチームの監督や選手もプロモーションなど積極的に協力してくれましたね。
全社的な協力を得るために、発足当初はすべての部署の方に活動の様子を見ていだたき、学生の熱量を直接感じてもらいました。マーケティングの部署だけでは取り組みを自由度高く進めることが難しい上、他部署からの理解を得られない状況に陥ってしまうことは避けたいと考えていました。
MZ:メンバーのお二人は、実際に活動に参加していかがでしたか。
我妻:目標設定の話が出ましたが、私自身もプロジェクトに参加する中、目標や数字を明確化することで自分の活動に納得感を持てると実感しました。最終的にはコミュニケーションが取りやすく、しかし目標や数字にはシビアに向き合っていく体制が構築され、メンバー全員が行動指針を自分の中で落とし込んで成長できたと思います。
成松:山﨑さんをはじめスタッフの方々やメンバーとコミュニケーションを密に取れる環境があったからこそ、数値目標などシビアな話もできたと思います。企業が若年世代と共創する際は、安心感ある環境を整えてから施策や目標の話を突き詰めていくという順番も重要なのではないでしょうか。
2期生への応募が殺到!学生を巻き込んだ場を作る重要性
MZ:成果や反響はいかがでしたか。
山﨑:2023シーズンは、J2リーグ在籍時でコロナ禍前も含めたクラブ過去最多の来場者数を達成しました。U-23マーケティング部の活動も集客に貢献できたと思います。反響の面でも、様々なメディアに取り上げていただきました。より多くの方にU-23マーケティング部の活動を知っていただくことで、クラブのブランド価値も高められたと考えます。
また、プロジェクトを協賛いただいている企業さんをはじめ、非常にポジティブな評価をいただけています。特に協賛企業さんにはメンターとしてもご協力いただいたり、あるいは見学に来られる企業の方もいたりしましたね。もちろんファンからも、SNSやスタジアムで応援の声をたくさんいただけました。

MZ:最後に、今後の展望を伺えればと思います。
山﨑:これまで、学生をリソースの補完として活用するケースがスポーツ界には多くありました。スポーツが好きな若者の思いを、ある意味利用する形になっていたことが課題だと私は考えていました。企業側がZ世代の目線に立ってプロジェクトの設計をしていくことが、スポーツ業界にとどまらず、彼らと共創していく上で非常に重要です。
2024年も、U-23マーケティング部の2期生が活動を開始します。募集を開始してからすぐに2023年の3倍ほどのペースで応募が集まったので、この取り組みがZ世代に魅力的に映っているのだと思いますね。今後は、よりパワーアップした形でU-23マーケティング部の活動を進めていきたいです。
我妻:多くのファンの方が取り組みを認知してくれたことに加え、新しいファンの方の獲得につなげることもできました。何より最後のプロデュースデーの時、メンバーの顔つきが明らかに初期と違い、自信に満ちた表情になったと感じました。将来は私も山形県やモンテディオ山形に、恩返しをできたらと思っています。
成松:私はこういった活動がJリーグ全体、ひいては様々な企業の間で広がってほしいと感じます。私自身、来年から社会人となるので、そういった学生を巻き込んだ場を作ることが目標です。コロナ禍で様々な活動の場が制限されてきた世代と企業がうまく共創し、意義ある活動につながってほしいと思います。
