プロダクトのロイヤル顧客に会いに行こう
MarkeZine吉永(以下、MZ):マーケティング入門連載の第2回では、マーケティングのシンプルな定義と、WHOとWHATの関係性について解説いただきました。特に「顧客=WHO」と「プロダクト=WHAT」さえあればビジネスが成り立つ、というお話が印象的でした。
【マーケティングとは】
「顧客」に向けて「価値」を「創造」すること。
(『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』p46より改変)
西口:WHOとWHATはビジネスの最小単位、という話ですね。
MZ:この2つの間に生じる「価値」について詳しく伺う前に、顧客についてもう少しお聞きしたいです。特に初心者マーケターの場合、どうしても目の前の仕事や指標を追うのに必死になってしまい、この構図が頭から抜けてしまうことがあると思います。
西口:そうですよね。プロダクトにはいつも向き合っていても、顧客については意識が離れがちだと思います。ECやアプリなどオンラインのビジネスは顧客と直に接する機会がありませんし、店舗型のビジネスでもマーケターが本部にいる場合には顧客との接点は少ないでしょう。
経験の浅い方ほど大事にしていただきたいのは、顧客に会いに行くことです。自社プロダクトを愛用されているロイヤル顧客を中心に、毎週くらいの頻度でどなたかに会うのがおすすめです。
顧客はどんな点に価値を見出しているのか
MZ:具体的には、どのようにすればいいのですか? 毎週ネットリサーチでモニターを集めてインタビューを設定するわけにもいかないですし……。
西口:そんなに難しく考えなくて大丈夫です。もちろん、しっかりインタビューの時間をいただいて聞けることが理想ですが、5~10分の会話でも得られることはあります。
たとえば店舗型のビジネスなら店舗を訪れて、店長やスタッフが顔見知りの顧客がいたら声をかけてもらったり、社内スタッフの友人や家族にヘビーユーザーがいたら話を聞いたりできると思います。BtoBなら、営業担当者がクライアント先に行く時に同行してもいいですね。
大事なのは、その方が「自社プロダクトのどんな点に価値を見出しているのか」をつかむことです。もし自社商品はそれほどに使っていない、競合の商品のロイヤル顧客がいたら、競合商品の何がいいのかを聞いていきます。
MZ:そのようにして「顧客に会って話を聞く」ことは、通常はあまり行われないものでしょうか?
西口:顧客を知ることの重要性には皆さん賛同されると思いますが、毎週のように話を聞いている人はほとんどいないのではないでしょうか。年に何回か、調査の一環として顧客インタビューを設定している場合も、1ヵ月以上は空いてしまいますよね。そんなふうに改まって行うのではなく、常日ごろから顧客に接していることが重要です。