利用者の3割が新規顧客、高い再来店意向も!
「3D smart & try」は開始から4年で約20万人が利用。27店舗に30台が導入されている。同サービス利用者の約7割が20~30代であることに加え、約3割が新規顧客と新たなつながりを作ることに成功した。「買い物ついでに気軽に立ち寄れる」「購買に役立つ」「一人で計測でき満足」などポジティブな反響がアンケートやSNSで寄せられ、高い再来店意向も見られた。

「簡単、手軽、便利、ストレスフリーなど、セルフ計測のメリットを多くの方に実感いただけている他に、楽しい、おもしろいといったエンタメ体験としても満足いただけています。商品販売だけではない、新たな店舗の体験価値を提供できるようになりました」(南氏)
多くの実績につながった一方、課題も浮き上がってきた。一つは「計測の速さ」や「セルフで行える」といった機能的な訴求にとどまり、本質的・情緒的な価値を訴求できていない点。もう一つは、メインの利用者である若年層が魅力に感じるコミュニケーションができておらず、ファン化につながらない点だ。これらの課題を踏まえ、同サービスのリブランディングに踏み切ったと南氏は述べた。
Z世代向けリブランディングによって生まれた「SCANBE」
リブランディングによって、「3D smart & try」を「SCANBE」というサービス名に改め、「自分を知り、自分を思いやり、お客様それぞれがありたい自分でいることに寄り添うブランド」というコンセプトを定めた。
「このブランドは、お客様のありのままを否定も肯定もせず、そのまま受け入れます」と南氏が語るように、同サービスの体験では、あえて平均値を出すことや数字目標の提案はしていない。あくまで顧客自身の自分軸を尊重し、寄り添うブランドを目指している。
またリブランディングにあたり、10代~20代前半のZ世代をコアターゲット層として設定。ワコールのファンになってもらい、生涯を通じてのロイヤルカスタマー化を推進していくねらいだ。

まずは2023年5月に「SCANBE」旗艦店である東急プラザ表参道原宿店を、リニューアルオープン。「ブランドの体現」「体験型ストア」「新たな価値提供モデル構築のための実証実験の場」という3つの役割を掲げた。同店舗は、利用者の声を拾いブラッシュアップするサイクルをスピーディーに進め、成功パターンの構築と水平展開への起点として位置付けられている。