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いまGoogleを使ってない人は、何を使っているのか?


世界のリーダーたちは何の検索エンジンを使っているのか?

 1998年Google設立当時、私は口コミでGoogleの評判を聞き、すぐに使い始めた。そのときの圧倒的なクオリティの高さは衝撃的で、それ以来、ずっと約25年間、Googleを使い続けてきた。だが、2022年11月のChatGPTショック、それに続く、Bing Chat Copilotの衝撃は大きく、私自身、正直に告白するが、もはやGoogleをほぼ使わなくなってしまった。そして、「他の人はどうなんだろう?」と気になり始めた。そこで、シリコンバレーに住む昔の同僚やロンドンのIT起業家、インドやオーストラリアなどの知人・友人8人にオンライン会議のついでに質問してみた。

 すると、最初の人の回答は、「OceanHeroを使っているよ」だった。恥ずかしながら、私は、OceanHeroという検索エンジンをまったく知らなかった。彼の話では「検索すればするほど、海をキレイにしてくれるんだ」と。つまり、海洋汚染という社会課題を解決するために、海に溜まったペットボトルの回収事業などにお金が寄付されるようだ。「検索エンジンで得た利益を社会還元する。その思想がGoogleからは感じられないからね」と。意識高い系のハッカーやエンジニアの間では当然のことだ、と。

 一番多かったのは予想通り、MicrosoftのBingだった。使っている理由は人によって少しずつ異なるが、たとえば、「SEO汚染がGoogleよりもマシだから」「MS Rewardsのポイントが貯まるから」「ブラウザEdgeと相性がいいから」「Bing Chat Copilotが無料で使えるから」などの回答があった。8人中5人は、Microsoft Bing/ブラウザEdgeを使っていると回答した。

 そのほか、DuckDuckGoBrave Searchの回答があった。ただ、8人中3人はGoogleもたまに使うらしい。そして、多くの人が、スマホではマップと相性が良いからGoogleを使っている。つまり、Google Mapは素晴らしいということだ。ただ、わかったことは、私の周辺のIT業界の人たちは、「もはや、Googleを使っていない」という事実だ。「こんなに叩かれているのに、なんでGoogleを使う理由があるのかね?」と諭してくる人もいた。

Googleを使わなくなった理由

 欧米のIT業界の人たちは、プライバシー保護や社会課題への関心が高いようだ。そのため、まずは、プライバシー保護に対する懸念からGoogleを使っていない、あるいは、人によっては「使うべきではない」と主張した。DuckDuckGoがわかりやすい。「GoogleやFacebookなどの企業は、ユーザーの個人データを自社の製品としています。食料品の購入、地元の天気の検索などの日常的なオンライン活動でさえ、何十もの企業に追跡されている可能性があり、<中略>トラッカーはユーザーの位置履歴、検索履歴、閲覧履歴などを収集し、年齢、民族性、性別、関心、習慣を推測し」(出典)とDuckDuckGoのトップページに明記されている。そして、DuckDuckGoは、そのようなトラッキングは行わず、「シームレスなプライバシー保護が無料で確保」できると謳っている。

 Braveについては、私もブラウザを使っている。Braveもプライバシー保護に力を入れている。「The best privacy online」「3x faster than Chrome. Better protection from Google」とBraveのサイトで強調する。ちなみに、私は、MicrosoftのブラウザEdge、Google Chromeも使っている。「3x faster than Chrome(Chromeよりも3倍速い)」というのは実感している。使えばわかるが、Braveのほうが速いと体感している。知り合いの技術者にいわせると、一番速いのがBrave、2番目がEdge、Chromeが一番遅いらしい。この3つはすべて、Chromiumというオープンソースを基に開発されているため、UXは3つとも極めて似ている。

 つぎに、このプライバシー保護に加えて、Googleを使わなくなった大きな理由は、「還元するか、しないか」という企業姿勢だ。これは、個人還元と社会還元の二つの側面がある。OceanHeroは、海洋汚染改善のために利益を社会還元している。Braveには、Brave Rewardsというプラグラムがあって、暗号通貨BAT(Basic Attention Tokens)が貯まっていく(参照)。Microsoft Bing の場合、MS Rewardsというポイントプログラムがあって、検索したり、ブラウザEdgeを使ったり、MSNでニュースを読んだりすることで、ポイントが貯まっていく(参照)。

 MS Rewardsのポイントは、「100万を超える非営利団体から選択してポイントを寄付できます」と大きく謡っていて、American Red Crossなど人道支援団体に寄付できるようになっている。もちろん、社会的な還元だけではなく、個人向け還元もあって、日本では、Amazonギフト券やAppleギフトカードの交換のほかに、「Microsoftリワードでは2023年10月中旬頃、交換先としてnanacoギフトやPontaが導入されていました。ですが、こちらはすぐに在庫が切れてしまったのか11月頃には外されており、こちらが今後復活するか否かについて多くの方が注目していましたね。そのような中、Microsoftリワードでは2023年12月14日頃から新たに楽天ポイントへの交換に対応開始しました」とネットに書かれている(参照)。おそらく、nanacoやPonta、そして、楽天ポイントへの交換希望のユーザーが多く、爆速で在庫切れになったということだろう。一般的に、入荷待ちが多いので、しばらく待てばよいとは思うが、いずれにしても、日本で人気のあるポイントプログラムと交換できるようにすることで、ユーザーの期待に応えながら還元しているようである。

 その他に、Googleを使わなくなった大きな理由は、やはり、ChatGPT/Bing Chat Copilotの衝撃が大きいようだ。これは私自身もそうだ。Googleを使わないというよりは、検索する頻度が激減した。

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/07 11:34 https://markezine.jp/article/detail/44776

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