※本記事は、2024年2月刊行の『MarkeZine』(雑誌)98号に掲載したものです
【特集】お客様の「ご愛顧」を得るには?
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課題は認知・無関心層からのファン化
──最初にベイスターズにとってのお客様=ファンの定義をうかがえますでしょうか。
プロスポーツの場合、スポーツ視点のファンとマーケティング視点のファンがあると思っています。スポーツ視点で言えば、「ベイスターズを応援したい」と思っている方すべてをファンと定義しています。
一方、マーケティング視点のファンの定義は、年間に複数回球場に足を運んでいただく、グッズを購入いただくといった行動の積み重ねでロイヤルティを高めていくことが評価軸の一つになっています。私たちはファンピラミッドを設計し、様々なデータを基にファンになる前の興味・関心層からコアなファン層まで階層分けし、各階層にどのくらいの人がいるのか見ながら階層別に施策を展開しています。
──ファンピラミッドの階層の中でも、どの階層からどの階層に引き上げるのが難しいですか。
一番難しいのは、認知層および興味・関心層を、ベイスターズのファン層に引き上げていくところです。ありがたいことに我々のホームスタジアムがある横浜市、そしてメインターゲットとなる神奈川県にお住まいの成人の方の認知率は高いですし、興味・関心を持っています。しかし、そこから来場する、ファンになるのには、高いハードルがあると考えています。