日本企業の初心者マーケターが置かれている環境
新卒入社でのマーケティング部門への配属、元上司からの抜擢、社内公募制度に応募しての部署異動など、日本企業でマーケターとして仕事をする人たちが現職に就いたきっかけは様々あります。右も左もわからない中で、マーケターとしてどのように独り立ちすればいいのでしょうか。
アドビでは、「マーケター初心者」に向けたコミュニティがあり、Adobe Marketo Engageの導入企業のマーケターが集まり、ベストプラクティスを共有できる場として、Japan Adobe Marketo Engage User Group(Japan MUG)というユーザーコミュニティを運営しています。中には分科会があるのですが、その1つに初心者マーケターが集まる「Marketo Foundation 分科会」が存在します。メンバーは、Adobe Marketo Engage製品を導入している企業に勤めていて、デジタルマーケティングに取り組むことになったばかりの人です。
マーケティング部門を設置している企業に勤めている人たちがほとんどですが、部署名に「マーケティング」がなくても、機能的には近い部署で仕事をしている人たちが集まる学びの場になっています。
まずこの分科会に参加している人たちを対象に、「学びたいことや現状の悩み」について聞いてみました。すると「マーケティングKPI設定」「キャンペーンマネジメント」「リードナーチャリング」のようなHowに関するものの他、目指す姿の定義や現状とのギャップの解消について悩んでいることが浮き彫りになりました。
具体的には、「そもそもマーケティングとは何か?」「どのように仕事へのモチベーションを維持しているのか?」「どうやって社内から活動についての理解を得られるようになったのか?」といった悩みです。Howは比較的簡単に解決できるのですが、これらの悩みは経験による部分も多く、すぐに解決できるわけではありません。
ではこうした「未経験の壁」はどのように克服すればいいのでしょうか。
初心者の典型的な悩み、3つの「わからない」
Japan MUGの活動に関わってきた私から見て、マーケティング初心者特有の「未経験の壁」には大きく3つの「わからない」と思う悩みがあるように思います。
1つ目は、テクノロジーがわからない。Adobe Marketo Engageをはじめとするマーケティングソリューションは機能が非常に多いことが良くあります。こうしたソリューションも使いこなせなければただの箱でしかありません。ところが、あまりの製品機能の多さを前にすると、圧倒されて不安になってしまうことが多々あるように見受けられます。
2つ目が、マーケティングがわからない。私自身は、どちらかというとBtoBのマーケターと関わることが多いこともあって、マーケティング知識に不安を抱えているケースによく遭遇します。マーケティングソリューションが導入されていても、どのように考え、どう使いこなしていいかがわからない状態に陥っているようです。
3つ目が、自社のお客様のことがわからない。日本企業の場合、他の部署からの異動でマーケターに転身するケースが少なくありません。特にBtoBマーケターの場合、コンテンツ制作、ウェビナー実施、イベント実施などは経験していても、お客様と直接対話する機会が非常に少ない。したがって営業と比べ、お客様理解の点で積極的に顧客のニーズをキャッチアップする必要があるのです。
このように「テクノロジー」「マーケティング」「お客様」、この3つがわからないことで、悩んでいるケースが多いと感じます。