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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

時代は「自分らしさ2.0」へ。他者目線 or 自分軸で「自分らしさ」の中身、幸福度は大きく変わる

新たな価値観には、マーケティングの突破口が⁈

 このような、自分らしさの檻から抜け出した人たちが今後の市場を牽引していくと、書品やサービスの在り方、特にブランドの在り方が大きく変わってきます。

 「選ばれた少数派である」ことを自慢するより、「多数派/少数派は気にせず、自分基準で支持する」というほうへ。「他人と被っても被っていなくても、自分が好きと思える・感じられる」ブランドが、これからの時代に支持されるブランドとなっていきそうです。

 となると、限定品の捉え方も変わってきます。限定品の間接的な価値は、「他人が持っていないものを持っているゆえに羨望される」というところにありました。しかし、タイパ・コスパを求めるらしさ抜けた!層においては、量産型こそが、自分のニーズを満たすことの裏付けとなるかもしれません。もちろん、ラグジュアリーなブランドの世界では、個性化の追求および資産価値の高いものをよしとする経済合理性が今後も盛んに追求されると思われますが、量産型/普及版の捉え方を少し変えてみると、らしさ抜けた!層のようなニュータイプの消費者にアプローチするためのブレイクスルーが見つかりそうです。

 また、タイパ・コスパのニーズが日に日に大きくなっているこの数年、「年賀状じまい」など、これまでの習慣的な消費がなくなってしまうという課題も頻発しています。そうした中で、らしさ抜けた!層の欲望やニーズに着目すると、過去にはなかった価値観に基づく新たな提案の糸口を発見できるかもしれません。

 たとえば、年賀状を自己の近況を伝えるものではなく、家族や親しい友人が純粋に喜んでくれるものに置き換えてしまえば、お年賀のプレゼントの送り状としてだったり、お年玉くじが主体になって、それを届ける手段として郵便を使うなどの転換が考えられます。自分をアピールしたがらない、らしさ抜けた!層がもたらす新しいコミュニケーションは、SNSの使い方にも変化をもたらすかもしれません。

「自分らしさ2.0」のほうが圧倒的に幸福度も高い

 昨今、インバウンド観光客による「地元の人も知らないようなマイナースポットに観光客が訪れる」というケースが増えています。SNSの力を感じずにはいられません。こうしたケースを見聞きし、「いいもの見つけた!ありがとう」と素直に喜べるのも、らしさ抜けた!層の特長です。「後追いはカッコ悪い」あるいは「海外でウケているから、今、国内で後追いすれば他人と差が付けられる!」といった発想はしないわけです。

 逆輸入的な訴求が有効になれば、色々な商品・サービスの機会が見えてくるのではないでしょうか?

 「自分らしく生きているけど、その自分らしさは、他人と同じでも構わない」と考える、らしさ抜けた!層は、今後さらに主流になっていくと思われます。なぜなら、らしさ抜けた!層は、他の層よりも圧倒的に自分が幸せであることを実感しているからです。

【クリックして拡大】DDD心が動く消費調査2023年11月 自分は幸せだと思うか否かを、全体/旧来の自分らしさの価値観を持つ人々/らしさ抜けた!層で比較したもの
【クリックして拡大】DDD心が動く消費調査2023年11月 自分は幸せだと思うか否かを、全体/旧来の自分らしさの価値観を持つ人々/らしさ抜けた!層で比較したもの

 「他人と同じでも自分らしくいられればよい」。そう考えられるようになると、よりアクティブに、自分軸で幸せを感じられるようになる。そんな人々を見て、周りの人々もそちらの方向に向かっていくでしょう。

 DDDでは、欲望を起点にした消費者インサイトの一つとして、今後も「これからの自分らしさ」に着目していきます。

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この記事の著者

高見 憲(タカミ ケン)

株式会社電通 CXプランニングセンター エンゲージメントデザイン1部長 チーフ・コミュニケーション・ディレクター 電通デザイアデザインメンバー

プランナー、ディレクターとして各種キャンペーン企画、新商品開発、およびそのローンチ/ブランディングを多数手がける。現在はCX領域を起点とした統合プランニングに重点的に取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/19 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45117

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