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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

時代は「自分らしさ2.0」へ。他者目線 or 自分軸で「自分らしさ」の中身、幸福度は大きく変わる

新・自分らしさの反対にあるのが「承認欲求」「優越感」?

 他者との競争環境の中で自己を見出すという価値観は、人々のどのような欲望を満たしていたのでしょうか?

 DDDの11の欲望に当てはめると、「欲望01 承認優越:他人という鏡に映した欲望」と関係性が深いのではないかと推察します。現代の消費者のうち、「欲望01 承認欲求と他社への優越感」が強いと考えられる人たちは、約20%存在します。

11の欲望
11の欲望

 『心が動く消費調査 第7回』においても、自分らしく生きているか否かを尋ねた設問では、次のような結果となりました。「他人と同じでいいとは思わない」と回答している人は、合計で19%ほど存在し、「欲望01 承認欲求と他社への優越感」を強く持つ人たちのボリュームと概ね一致します。

『心が動く消費調査 第7回』より
『心が動く消費調査 第7回』より

 今回注目したいのは、個性に囚われた旧価値観の層ではなく、旧来の価値観から抜け出した新たな人々です。自分目線で自分らしく生きる、つまり他者目線は不要。その結果、他人と同じでも違っていてもよいと考えている層。私たちはこの「新・自分らしさ」に突入した人々を「らしさ抜けた!層」と名付けました。

 今後、世の中は、個性を捨てて「新・自分らしさ」に向かう、あるいは他者目線を捨てて「新・自分らしさ」に向かう流れがより顕著になってくると予見します。

 新たな消費を仕掛けるにあたって、この流れは無視できないものになっていくでしょう。

らしさ抜けた!層が求めるもの

 さて、らしさ抜けた!層が台頭してくると、マーケティングはどのように変化するでしょうか? 心が動く調査を分析すると、消費に関連しそうな顕著な特徴がいくつか見つかりました。

【クリックして拡大】DDD心が動く消費調査2023年11月 それぞれの意見に対し、そう思う/ややそう思う/あまりそう思わない/そう思わない の4段階うち、そう思うと回答した人の割合
【クリックして拡大】DDD心が動く消費調査2023年11月 それぞれの意見に対し、そう思う/ややそう思う/あまりそう思わない/そう思わない の4段階うち、そう思うと回答した人の割合

 らしさ抜けた!層について明快なのは、「人の目を気にしない」ということ。「自分らしければ、人と同じで構わない」ということは「人の目を気にしてばかりいる」ことから抜け出す、ということなのでしょう。ともなって、他者を羨むこともなくなります。

 同時に、らしさ抜けた!層は、とても合理的で割り切った考え方をします。お金や時間の無駄を排除する、つまりタイパやコスパを重視する傾向が強い。ゆえに、人間関係においても、割り切った付き合いを好む人が多いようです。

 かといって、見た目を気にしない、人と一緒に何かを楽しむことがないということでもありません。自分から見た自分の見た目が良ければ心地よいし、好きな人が喜べば自分も嬉しい、ということでしょう。他人と同じでも構わないと思えるようになると、純粋にアクティブになれるのだと思います。好きなもの、応援したいもの=推しがいる傾向が高い理由も、ここから読み取れます。

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新たな価値観には、マーケティングの突破口が⁈

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この記事の著者

高見 憲(タカミ ケン)

株式会社電通 CXプランニングセンター エンゲージメントデザイン1部長 チーフ・コミュニケーション・ディレクター 電通デザイアデザインメンバー

プランナー、ディレクターとして各種キャンペーン企画、新商品開発、およびそのローンチ/ブランディングを多数手がける。現在はCX領域を起点とした統合プランニングに重点的に取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/19 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45117

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