「個別最適化から全体最適化へ」RevOpsの役割
MOpsの体制を整え、マーケティングパフォーマンスを可視化できるようになった場合、次に気になり始めるのが部門間の溝ではないだろうか。各部門で個別最適化され過ぎているケースもあるだろう。そこで最近欧米でも話題になっているのがレベニューオペレーション(RevOps)だという。
RevOpsとは、戦略的にマーケティング、営業、カスタマーサクセスを統合し、データプロセス管理を通してレベニューの成長をサポートするチームもしくは役割を指す。
各部門で最適化することは大切であるものの、それはあくまで一連の流れの一部を担っているだけに過ぎないため、最終的には、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスを一気通貫でつなげて見ていく必要がある、つまり「個別最適化から全体最適化へ」という考え方から成っている。
米国でも「RevOpsのチーム、もしくは部門があると答えた企業は67.5%」となっており、MOpsよりは低いものの、まさにこれから注目される取り組みと考えられるだろう。
レベニュー組織体制がAI活用の成功の鍵となる
「レベニュー組織体制は今後活用の広がるAIについても重要な役割を担っています」と廣崎氏は語る。
テクノロジーの進化とともにテクノロジーの民主化が広がり、特に生成AIブームの到来でマーケターが現場でAIを活用することも多くなった。
この流れはポジティブなものと捉えられる一方、部門ごとに活用するAIツールが異なる場合、学習内容のサイロ化や個別最適化が過度に進んでしまうと考えられる。結果として、収益にどう貢献したかや学習内容が組織全体に適用できるかかがわからなくなってしまうため、廣崎氏は「AIを効果的に活用するための組織体制やテクノロジー管理体制が整っていなければ、近い将来にカオスになってしまうのではないか」と警鐘を鳴らす。
欧米においては、これまでMAやSFAにセールスやマーケティングがデータを集約・管理していたものを、レベニュー組織全体でデータウェアハウスやCDPなどを活用することでレベニューに関わるデータを集約し、その上にAIやBIツールをつなげる企業が増えているという。
「欧米の最前線では、マーケティングからセールス、カスタマーサクセスのプロセスの最適化を行うというビジョンのもと、このような整理が進められています」(廣崎氏)
最後に廣崎氏は日本における体制の進め方について語り、講演を終えた。
「マーケティングを担当する皆さんの場合はまずMOpsの体制を整えることから始め、その効果を示すことで順にセールス、カスタマーサクセスとレベニュー組織の立ち上げにつなげていただければと思います。本日お伝えした内容が、マーケターの皆様の参考になれば幸いです」(廣崎氏)
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