自律的な学習を促す育成基盤構想
人事戦略方針に関してまとめると、採用だけでなく内部人材の育成投資により重心を置こうとしています。従来は人材を大量に採用すれば、規模の経済によってそのまま成長につながる面があったのですが、それも近い将来限界を迎えると考えているためです。
そして、育成とセットにした領域間の配置転換で中長期的な総合人材の創出を目指します。
このような幅広い領域のスキル習得や、成長機会そのものが、社員にとって電通デジタルで働くメリットにもつながると信じています。
──人事戦略方針を踏まえた具体的な取り組みを教えていただけますか。
新たな育成基盤の構想を進めています。単なる研修体系の構築ではなく、自律した学習ができる環境を目指し、顧客企業への提供品質の維持と他社に勝るサービス提供の実現に向けて取り組んでいます。
現在も、電通デジタルで働くために必要なベーシックスキル、マネジメントスキル、ヒューマンスキル、そして各領域の専門スキルを習得できるプログラムを階層別に提供しています。
提供方法はリアル研修、eラーニング、OJTと様々です。eラーニングに関しては2024年2月時点で1,170以上のコンテンツを用意しています。常に自分の知識がアップデートできますから、当社ではリスキリングを意識するまでもなく、学ぶことのできる環境が整っていると言えると思います。今期中には、これら既存の研修施策を整理し直した上で、さらに社員一人ひとりが自分にとって必要な研修を選択し、効率的に学べるプラットフォームを構築したいと考えています。

──「求める人材のイメージはあっても、具体的にどのようなプログラムを用意すればよいかわからない」といった声も聞こえてきます。電通デジタルが育成プログラムを作る際、意識していることはありますか?
プログラムを内製化し、オープンな環境で提供することです。変化の激しい業界にあって、社員一人ひとりの専門性についてスピード感を持ってシェアして、専門外の社員も含め、常に最新の情報に触れることのできる環境が極めて重要だと考えているからです。
また、新卒で入社した社員には、中期的にどうステップアップしていけるかを自ら考える機会を提供したいと考えています。たとえば「経験チェック」を実施することで、どのような仕事を経験したか、まだ経験していないかが可視化され、自分に足りないスキルを自覚することができる仕組みを用意しています。