CM作りに「資産を作る」という考え方を
テレビCMを制作する際、それだけで大きなインパクトを残そうとする担当者もいるだろう。その点に関して北尾氏は、「資産を作る」ことを念頭に置くべきだと指摘した。
「私が担当したビズリーチでいえば、人差し指を立てて『ビズリーチ』というポーズが放映後にも資産として残り、同社の様々な場で活用されています。これからCMを作る方は、他社のヒットクリエイティブをなぞろうとするのではなく、自社の資産を発明しようという考え方を持つことが大切です」(北尾氏)
北尾氏のコメントを受け、津田氏も今回のCMで工夫した点について振り返った。「メビー」を訛りの口調で登場人物が話すアイデアは、CM放映後にも商談の場で「あれ何弁なの?」と話題にしてくれるお客様も多く、サービス名のインパクトを残すことに成功した。

展示会でもCMを活用!
ミスミではデータドリブンを重視しており、CMも放映だけで完結せずCRMに活用。ECサイトの顧客データベース・メビーのデータベース・CMや展示会・プレリリース・SEO・SNS・動画コンテンツなど様々な方法で集めた顧客情報を、データベースで一括管理している。
顧客の最新状況はBIツールで可視化され、各事業部チームで共有する。そしてそのデータをインサイドセールス・営業・MAなどに活用し、企業規模や顧客行動に合わせて適切なアプローチを展開している。
一方、北尾氏はCM放映後の施策について、展示会に着目した。あるスタートアップとCM施策を行った際、撮影中のために制作した美術品を展示会のブースでも設置することで、CMとの相乗効果で他社との差別化を狙ったという。展示会については、津田氏も「BtoB企業にとって最も重要な顧客との接点の場所」と強調した。
「今回のCMは、展示会の自社ブースでもループ再生して放映していました。すると足を止めてくれるお客様も多く、ブースに足を運んでくれるきっかけや会話の取っ掛かりになるなど、副次的な効果も生まれています」(津田氏)
津田氏は、「今回CM施策を行ったことで、認知拡大とユーザー獲得の効果を実感できました。今後は認知をどこまで広げればいいのか、次のCMではどのような効果を期待すればいいのかも踏まえつつ、試行錯誤しながらこれからの施策につなげていきたいです」とセッションを締めくくった。