コロナ禍で「自宅から近くの店」利用にシフト その基準は?
CODEで取得する購買データの全体像は下図のようになっており、ユーザーが登録し利用を許諾した自宅の郵便番号と店舗の住所から、おおよその「自宅と買い物した店との距離」が分析できるという。

同社では近年の変化を分析するため、自宅と買い物した店との距離を段階分けし、それぞれの買い物回数の構成比を算出。2019年の数値を基準として、それ以降の各年を比べたのが下のグラフだ。

コロナ禍が国内で始まった2020年は自宅から1km未満の近い店が2.2ポイントアップしたのに対し、自宅から5km以上の遠い店での買い物が3.3ポイントダウンと大幅に減少した。グラフからも「自宅から店までの距離が3km未満かそれ以上か」が、増減の分岐点となったのがわかる。
2022年、23年とコロナ禍が落ち着くにつれて、2019年の水準に戻りつつあるものの、直近でも5km以上店舗は1.7ポイントダウンと、コロナ禍の活動圏の縮小で、買い物が「自宅近くのお店」にシフトしているのがデータにも表れている。
業態に求める商品が変化 注力した売り場で明暗分かれる
業態別にデータを見てみると、自宅から3km未満のお店で客数構成比を伸ばしたのはスーパーマーケット、次いでドラッグストアであった。他方でオフィス街のコンビニは、コロナ禍による外出制限やテレワークの常態化によって、買い物回数構成比を大きく下げている。

また、2020年以降では自宅近くのコンビニで買い物をする機会も減っているという意外な結果が示された。山田氏の見立てでは「通勤などの時間が減り、余剰時間ができたことで、自宅に近く相対的に価格が安いスーパーやドラッグストアの利用頻度が増加したことが影響している」という。
その店舗で購入する商品カテゴリにはどのような変化があるのだろうか。3km未満のスーパーにおけるカテゴリ別売上構成比をコロナ禍前後で比較してみると、売上構成比を伸ばしているのは「惣菜」だった。
なかでもお弁当の売上が増えており、巣篭もり需要による中食機会の増加や物価上昇にともなう生活費の引き締めから、スーパーでお弁当を購入する習慣が定着したと分析できる。コロナ禍直後に拡大した「生鮮」はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、冷凍食品の微増を除いて加工食品全体では、大きく構成比を下げる結果となった。
特に店舗近くの居住者の買い物について「スーパーの住宅街店舗では、どの売り場に力を入れたかで明暗が分かれた」と山田氏は推察した。
また、セッションの最後では、値上げによる生活者の価格受容性の変化も取り上げられた。2022年10月から、立て続けに食品や日用品の値上げが発表され、さらにコロナ禍を境に高まる節約意識が相まって、生活者が買い物時に気にする一番の要素が「価格」になってきている。
そうした状況のなか、ユーザーのレシートを読み取り、店舗やチェーン別の単品の購入価格をデータベース化しているCODEの利用動向から、特定の商品におけるリニューアル前後の購買データを分析。その結果を山田氏が紹介した。