コンセプトとパーパスがマッチした、YOLUのパッケージデザイン
夜間美容シャンプーとして開発されてきたYOLU。実は当初、現在の美しい星空を用いたデザインではなく、暗めの色合いだったのだ。
「眠った後の夜中」をイメージして作られた初期案は、生活者への評価調査では結果が芳しくなく、むしろ明るい白や青のデザインの方が、より評価が高い結果となった。
一方で、生活者からの評価が高いからという理由だけで白や青を採用すると、夜間美容というコンセプトが伝わりにくくなるためにコンセプトデザインの一貫性が損なわれかねない。この他にも、白は店頭で目立たず、青だとメンズをターゲットにした商品と思われないかなどの懸念もあった。
また星空や夜空は、YOLUが目指していた「夜の間に髪が綺麗になり、翌朝に感動する」仕上がりにも合っていたため、パッケージデザインを再度消費者調査にかけたところ非常に良い結果となった。パーパスで表現したかったものがクリエイティブに反映できていると、広告内の文言が最小限でもメッセージ性のある広告になるという発見もあったそうだ。
感覚での判断をなくす、ヒットの仕組み化
大菅氏が「弊社ではヒットの再現性を高めるため、徹底的に仕組みへ落とし込んでいます」と語る背景には、これまでのI-neの歴史が大きく関係している。
2014年にSALONIA、2015年にBOTANISTが発売され、2020年にマザーズ市場上場、2023年にプライム市場上場したI-ne。一見順風満帆のように見えるが、BOTANISTヒット直後の2017年から2018年にかけては、会社として伸び悩む時期があったという。
毎月のように大量に人材を採用して新商品を発売するも、当時の商品開発はまだ感覚的に判断する場面が多かったためになかなかヒット商品が現れず、在庫が滞留。同時期は離職していく人も多かったそうだ。
こうした失敗を会社全体で反省し、会社の強みや足りない課題、捨てるべき要素など言語化。ヒット再現性の高い仕組みを追究したことで生まれたのが、I-ne独自のブランド管理ステップ・IPTOSだった。
同ステップは、ブランド管理に3つのゲートが設けられ、その時々でコンセプトやデザイン、販売プランを振り返りながら再現性を高めていくもの。I-neのすべてのブランドは、このIPTOSに準じており、実際に経営層と議論する際にも用いられている。
「”あたり前のことを仕組みとして作っていくこと”がヒットへの1番の近道だと考えています。社内共通認識として型をしっかり作ることで、誰でも同じことができますし、仕組みを明文化して全員でアップデートしていくことが、事業成長組織成長につながります」(大菅氏)
