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有園が訊く!

ADKグループが加速させる「3つの変革」 変化を追い風に成長を目指す独自戦略を大山社長に聞く

若手社員に3部署を経験させる

有園:人材のポートフォリオ変革についても教えてください。

大山:まず、新卒入社の社員に10年間で必ず3部署を経験してもらうことにしました。営業やデータ分析、プランニング、プロデュース、クリエイティブ、コンテンツなど、7~8種類の職種の中から3つです。

 取り組みを始めて3年ほどたちましたが、現在のところ、初任配属は全員デジタル関連領域です。デジタルに近い部署を1年ほど経験してから他の部署に行く人が多いですね。最近はそういう経験をした人たちが営業に出ていくようになり、以前より営業の提案クオリティが高いことを実感しています。アンケートをとると、最初は嫌々デジタル、データ領域をやっていた人もいたようですが、今は「経験しておいて良かった」と感じている人が多いです。

 次に、新卒採用と中途採用の割合を変えました。少し前までは新卒と中途が1対2で、足りない人員を中途で補う形でしたが、今は新卒の人数を増やし、2対1にしました。新卒は今年から約130人採用しています。総合力のある人材をじっくり育てる体制になってきました。入社2~3年目には、いったん職務を離れて徹底的に鍛え直すプログラムも始めています。

 一方、幹部については、同業や異業種で経験を積んだ人を積極的に招き入れています。電通や博報堂・アクセンチュア・ネット専業など、広告業界で経験を積んだマネジメント人材がそろってきました。役員は、外部でのマネジメント役員経験者が半分、CFO、CIO、CHROなどは事業会社で専門分野を経験した人たちです。幹部は経験豊富でないといけませんし、広告とは違う世界で生きてきた人たちの知見や感覚も必要です。

ADKが描く、生成AI活用ロードマップ

有園:今後、どのような領域で成長が見込めますか。

大山:当社の強みはコンテンツビジネスです。もともとアニメに強く、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」などを担当しております。コンテンツビジネスの営業利益は全体の2割を占めていますが、早期に3分の1にしたいと考えています。コンテンツビジネスを担うADKエモーションズの子会社として、アニメスタジオ(スタジオKAI)があり、「ウマ娘」などのヒット作品で評価されるようにもなってきました。今後もADKグループは、映画やグッズ制作、世界配信などの展開に携わっていきます。

有園:生成AIに関連した話では、2023年に社内向けのGPTチャットボット「トラポケ」の提供を始めたそうですね。なぜ開発したのですか。

大山:ChatGPTが話題になったころ、社内でも仕事で使ってみようかという話が出ていました。しかし、発売前の商品の情報を書いてしまうなどのリスクがあることから、MicrosoftのTeamsで使用できる、外部に情報が出ていかない社内GPTを開発しました。徐々にアクティブユーザーが増え、今では社員の6~7割が使っています。

ADKの社内GPT「トラポケ」活用のロードマップ(タップで画像拡大)
ADKの社内GPT「トラポケ」活用のロードマップ(タップで画像拡大)

有園:どのように活用していく方針ですか。

大山:今はさまざまな機能を実装している段階です。テキストやパワーポイントの資料を読み込ませたり、ドキュメントを要約したりする機能はすでに使えます。具体的な例では、当社で実施している定点調査について過去の情報を呼び出したり、クロス集計したりすることもできます。

 今後はプランニング支援の機能も充実させる計画です。ゆくゆくは、クライアントのオリエン資料を読み込ませて過去の成功体験をマッチングさせる、という使い方もしたいですね。「こういう案件が来たら、こういう方針で行けば成功確率が高い」という情報が分かり、そのための企画書作成やチームビルディングも自動でできることを目指しています。

有園:チーム構成をAIに考えてもらう、というのは非常に面白いですね。今後も楽しみにしています。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/04/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45271

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