「広告」だけで終わらない。人を動かし、ビジネスを成長させる戦略を
MarkeZine編集部:BX、CX、COに関してもう少し具体的に聞いてみたいと思います。VMLから受けられる支援内容を、日本の事業主はどのようにイメージすればよいですか?
Mel:ここまでお話ししてきたBX、CX、COの3つは、あくまでVMLがケイパビリティを持つ領域を整理したものです。ですから、クライアントが「BXを向上したいのだけれど」などと相談してくることは、おおよそないと思っています。
実際、グローバルでもクライアントの入り口は「このような目的でキャンペーンを行いたい」などというものです。これはきっと日本でも同様ですよね。ただ、入り口は同じでも、そこから多方面にわたる提案をすることができるという点でVMLは特異性を持っています。
たとえば、あるメーカー企業が「市場シェアの拡大」に課題を抱えていたとしましょう。その課題に対し考えられるアプローチは、様々あります。コマース領域の深い知見をフルに活用し、直接消費者に商品を届けるD2C戦略を描くかもしれませんし、中長期的に顧客との関係性を構築するCRM戦略や、ライフタイムバリューを高めるための施策を提案するかもしれません。あるいは、消費者に訴えかけるキャンペーンやイベントを設計したり、店頭のCXを高める企画をしたりするかもしれません。テクノロジーとデータ、クリエイティビティをもって実現できる様々な選択肢の中から、消費者のニーズに合っていて、かつクライアントの売上拡大に繋がるものを実行していくのがVMLです。
MarkeZine編集部:なるほど。「キャンペーンを行いたい」という相談の出口が、キャンペーン=広告だけでないのですね。日本でも面白いプロジェクトの例はありますか?
Mel:ユニークな施策が色々ありますよ。日本のチームが「バーチャル渋谷」などユニークな施策を多数行ってきたKDDIとの取り組みは、日本だけでなく、各国のプロフェッショナルが集結してつくられた素晴らしいプロジェクトです。
リアル・バーチャルでBX×CXを創造、KDDIを世界のブランドへ
VMLネットワークの一員として日本にサービスを提供するVML & Ogilvy Japan(VOJ)は、リアル、バーチャルでのBX/CXソリューションを深め、日本のブランドの成功を世界に広げている。その一例が、KDDIとのプロジェクトだ。
2020年、KDDI、渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザインが中心となり、新しい時代にふさわしい事業、サービス、街の在り方、人との関わり方などを模索する参画企業50社と共に「渋谷5G エンターテイメントプロジェクト」が組成された。VOJは、このパートナー・エージェンシーの1社として参画している。
同プロジェクトにおける代表的な施策として「バーチャル渋谷」がある。コロナ禍にニューノーマル時代の街の新たな可能性を示し、大きな注目を集めてきた渋谷区配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」は、延べ5万人が集結したオープニングイベントから始まり、2023年開催の「バーチャルハロウィーン2023」には延べ150万人以上が参加。社会的イベントと言える規模にまで拡大している。
また、VOJは、昨年度KDDIが発表した現実と仮想を軽やかに行き来する世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス「αU」のブランドフィルムを手掛けている。直近では、KDDIが初出展した世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024」にて、ブースの企画・演出・エグゼキューションを担当。国境を超えたBX、CXの精鋭部隊がリードしている。
こうしたプロジェクトを経て、KDDIとWPPはWeb3事業における戦略的パートナーシップを締結。WPPの一員として、今後もVOJは人々の行動変容を促すクリエイティブとエグゼキューションの強みを活かし、単純なプロジェクトの運営~実施ではなく、end to endでブランドエクスペリエンス、カスタマーエクスペリエンスの設計をリードしていく。