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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

価値の源泉を見出して社内にバトンをつなぐ 購入者と喫食者に向き合うニチレイのマーケティング

味の核がないからおいしさを追求できる

──他の食品メーカーにはない、ニチレイフーズならではの特徴はありますか?

 味の核を持っていないことが特徴かもしれません。たとえば調味料メーカーの場合、マーケティングのミッションはその調味料の良さを広めていくことであり、その調味料を活用した商品を企画しますよね。一方、私たちは絶対的な素材や味をベースに商品を展開するのではなく「手づくりと比べておいしいか」「プロの工程を参考にすればおいしくできるのではないか」という具合に、価値を相対化しながら事業を展開しています。核となる味がないぶん、おいしい商品をつくることに注力できる点が強みです。

──奥村さんは、全社の中でマーケティング組織が果たすべき役割、経営活動においてマーケティングがもたらすべき価値について、どのように考えていらっしゃいますか?

 マーケティング組織は、商品が自動的に売れていく仕組みを築く役割を担っています。そのためには、BtoC商品であれば生活者からの認知度や好意度を上げていくことが肝要で、事業部がまだ見えていない新たな市場や生活者のインサイトなどを可視化する必要があるでしょう。

 現在、当社は事業部と機能性組織を混合した組織形態ですが、将来的にはブランドマネジメント制のように「米飯」「チキン」「甘味スナック」などのカテゴリーでマーケティング担当者を分け、各カテゴリーの需要喚起に特化した専門組織が必要になるかもしれません。

──ニチレイフーズが抱えている課題と、その解決のために近年特に力を入れてきたマーケティング活動をお聞かせください。

 課題の1つに「商品名と企業ブランド名の不一致」が挙げられます。たとえば「本格炒め炒飯」は、2001年の発売以来毎年改良を続け、20年以上冷凍炒飯カテゴリーにおいて売上No.1(※1)を誇る商品です。2015年にマーケティング部の前身が発足してからは飛躍的な売上の伸びを見せ、2021年には年間売上でギネス世界記録(※2)にも認定されました。しかし「本格炒め炒飯がニチレイの商品である」と認識している方は決して多くありません。

 不一致の要因として、商品名が愛称などの固有名詞ではなく一般名称(「炒めた炒飯」など)であることや、冷凍食品の購入者と喫食者が異なることなどが挙げられます。たとえば、購入者(親)はニチレイの商品であると認識していても、パッケージを見ていない喫食者(子)は認識していないケースもあるでしょう。「冷凍食品はニチレイ」と多くの方々に思っていただけるよう、様々な施策を展開しています。

※1 インテージSRI+冷凍調理炒飯市場2017年3月〜2024年2月各年累計販売金額/インテージSRI冷凍調理炒飯市場2001年3月〜2017年2月各年累計販売金額

※2 記録名「最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上)」対象年度:2020年

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喫食者と購入者の双方にアプローチ

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 11:13 https://markezine.jp/article/detail/45465

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