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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」どこまでもミッションドリブンなマネーフォワードのマーケティング

部門間の対立を解消する共通のピン

──駒口さんは、全社の中でマーケティング組織が果たすべき役割、経営活動においてマーケティングがもたらすべき価値について、どのように考えていらっしゃいますか。

 私は「マーケティング=顧客を理解して価値を届ける活動全般」と捉えています。その上で、マーケティング組織が担うべき役割は大きく二つあります。

 一つは、顧客が日頃抱えているペインを事業にフィードバックする役割です。マーケティング組織は、顧客のペインに最も数多く接する立場だと思います。セミナーを開催したり、Web上でユーザーの行動を見たりしながら、顧客が解決したい事柄をつまびらかにする。そして課題に沿った価値を顧客に提案しながら、事業やプロダクトの戦略に対してフィードバックも行う。この一連に、マーケティング組織の意義があると考えています。

 もう一つの役割は、自社に対する信頼感や期待感の醸成です。マーケティング施策は往々にして、非ユーザーが当社に触れる最初の接点となります。そのため、マーケティング組織はポジティブな第一印象を与えることに責務を負っているのです。

──BtoB企業の場合、マーケティング部門とセールス部門の対立が課題になることは多いと思います。

 マーケティングとセールスの担当者がお互いを向いてしまった時点で負けだと思っています。たとえば、マーケティングの担当者が「リードを獲得してもセールスが受注につなげてくれない」と感じたり、逆にセールスの担当者が「マーケティングから渡されるリードの質が悪い」と感じたりするケースです。

 当社では、先に述べたミッションに紐づく「ビジネスの拡大」にピンを留めているため、それぞれの組織が目標を達成したかどうかということよりも、社として果たすべきミッションや達成したい目標に向かえているかどうかを重視しています。

──ピンを留めるための具体的なアクションを教えてください。

 確度の高いリードだけを集めようとすると、数が犠牲になりますよね。限られたリード数では、受注のボリュームを増やすことも難しいでしょう。「多少見込みが低くてもリードを増やしてほしい。そのために受注率が下がっても問題はない。とにかく多く打席に立って、打てるヒットの数を増やそう」と伝えました。マーケティングとセールスに共通のピン留めをしたところ、獲得リード数は約8倍、受注数は約4倍に伸長したのです。

──近年特に力を入れてきたマーケティング活動はありますか?

 マネーフォワードらしさの定義を行っています。当社では事業部ごとにマーケティング担当者が存在するのですが、各事業部がバラバラのメッセージを発信するなど、顧客から見て違う会社に見えるような事態は避けたいからです。

 全事業部で絶対にやらないと決めていることは恐怖訴求です。顧客のビジネスを前に進めることが当社のミッションですから、たとえCPAが良かったとしても「このサービスを導入しないとやばいですよ」「こんなことを続けていると終わりますよ」などの恐怖を煽るコミュニケーションはしないという決まり事を作っています。

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人の成長は打席の数と真剣さで決まる

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 11:03 https://markezine.jp/article/detail/45481

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