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リテールのマーケティングトレンド

GREEN SPOONが販路拡大で得たこと、失いたくなかったこと

 リテールメディアへの相次ぐ参入と激しい市場拡大など、大きな変化が起きているリテール業界の中で、見逃せないことの一つがD2Cブランドの販路拡大だ。今回は、D2Cブランドとしてスタートし、リアルでの販路拡大やイベントにも注力してきた『GREEN SPOON』の取り組みについて、同ブランドを展開するGreenspoonの常務取締役 COO・創業メンバーである黒崎廉氏に取材。販路拡大の裏側にあった成長のための狙い、ブランドらしさを失わないための工夫などを共有する。

手軽さと健康を両立し、「罪悪感のない食生活」を実現する

━━まずは『GREEN SPOON』というブランドについて改めて教えてください。

 『GREEN SPOON』は、「自分を好きでいつづけられる人生を」という企業ビジョンを、食からのアプローチで実現していこうとしているブランドです。何かに忙しく、しかし何かに頑張っている方が、どうしてもおろそかになりがちな食事をサポートしています。

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株式会社Greenspoon 常務取締役 COO 黒崎廉氏
モバイル向けゲームアプリ開発会社を経て、Greenspoonを共同創業。以降は一貫して事業責任者を担い、マーケティングやサービスの体験設計などを統括する。ゲーミフィケーションの思想を生かし、『GREEN SPOON』の楽しみのある顧客体験を創出している

 当社は代表をはじめ、創業メンバーの皆が「20代はバリバリ働き、自分の体のための食事については後回し」になっていました。しかしそれは、健康にも精神的にも良くないという体感を持っていた。そこで自分たちと同じように悩む方々のために作ったのが『GREEN SPOON』です。自宅に野菜たっぷりの食事を届けるというコンセプトの宅配食で、飽きずに楽しんでいただけるようにおかずやスープやサラダ、スムージーなど様々なカテゴリの料理を選べる設計になっています。

 また、「素材で届ける」ことも大きな特徴です。温めて食べるだけというよりは、簡単なひと手間をかけて調理していただいて、できたてのものを食べていただくサービスになっています。これは毎日食べても妙な罪悪感にさいなまれずに済む、つまり「自分を好きでいつづけられる」ための工夫でもあります。

 食のサブスクリプションサービスで、一番の課題となるのが「飽き」だと思っています。『GREEN SPOON』のある生活をお客様がストレスなく続けていくためにも、私たちは毎月新商品を出しています。大変ですが、その点は覚悟して出し続けています。

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『GREEN SPOON』公式Webサイトより

体験からビジョンを伝えるために、D2Cモデルが最適だった

━━近年では、小売・メーカーにおいて「D2C」と呼ばれる事業モデルが浸透しました。『GREEN SPOON』も自社製造の商品をECで直接顧客に届けるD2Cモデルと捉えられますが、こうした事業モデルとなった背景をお聞かせいただけますか。

 生活者に選んでいただくためには、「機能性」だけでなく「情緒的な価値」も必要になってきていると感じます。機能性だけでは、大手メーカーに勝ち続けることは難しいでしょう。そのような中で、ブランドは「選ばれ続ける理由」を作っていかなければならない。機能性だけでなく、その体験を通じて伝えるブランドの意志、「ビジョン」が選ばれ続ける理由の一つになると考えました。

 『GREEN SPOON』がどのような世界を実現したいのか━━私たちのビジョンを、売る場所でもプロダクト設計でも一貫した体験によって表現し、お客様に感じてもらうための手段として、結果的にD2Cモデルが一番良かったと考えています。

━━現在では、一部の小売店舗での販売、他社ECサイトを通じた販売にも販路を広げられています。近年の販路拡大について概要をご説明いただけますか。

 『GREEN SPOON』は2020年の3月に自社ECで始まりました。パーソナルスムージーとして、診断コンテンツから自身に合わせた商品を選べるという工夫をしながらの販売です。

 それから1年ほど経ってから、他社ECモールへの出店を始め、さらに約1年後にギフト系のモールにも展開を始めています。

 ECモールやギフト系モールへの展開と並行して、一部のスーパーやコンビニで卸販売も行ってきました。ほかにも、ホテルでの朝食利用や企業様が従業員に提供されるといった活用も出てきています。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45618

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