キリンビバレッジが、AIを活用した需要予測で目指すこと
後半はVendyの導入を決めたキリンビバレッジの吉岡氏が登壇。
同社では現在、全国で18万台の自販機を設置。飲料の提供だけでなく、小型カメラを搭載した「みまもり自動販売機」、緊急用バッテリーを備えた「災害救援自動販売機」、ピンクリボン活動への支援が行える「ピンクリボン支援自動販売機」など自販機を通じて様々な社会課題解決に貢献してきた。
また2015年からは、自販機の販売状況を遠隔から把握する「オンライン検量用通信端末」を導入しオペレーション業務の効率化を図ってきた。今回キリンビバレッジは、2024年10月から同社が直接管理する8万台にVendyを導入。2025年9月末までに搭載していく予定だ。

Vendyのサービス導入の背景について吉岡氏は「属人的な業務プロセスによる、各担当者のばらつきを少なくすることに加え、オペレーションの人材確保が難しい環境下でも、お客様へ継続的に質の高いサービスを提供していくため」と話した。

AIによる高精度な需要予測から補充数の過不足を低減させるほか、巡回ルートの効率化により機会損失と訪問コストを最小限に抑えることを目指す。これにより、経験や勘に頼らない効率的なオペレーションと業務フローの効率化を図っていく。
具体的には、各自販機の需要予測に基づいて機会損失と訪問コストを最小化しつつ、訪問計画を強化。また需要予測に基づいて、商品の補充本数を算出していく。さらに、各自販機に対し「何を入れるべきか」も出力し、車両に何をどれだけ積んだらいいのかといった、一連のオペレーションの指示が自動で出力可能だ。
AIによる需要予測の広がりや可能性とは?
吉岡氏はVendyと今までの需要予測との違いについて「商品単位にまで落とし込まれた需要予測の精度が高かった点と、訪問コストに加え品切れ対策もサポートしてくれる点」を挙げた。
またキリンビバレッジはVendy導入後の効果として、自販機オペレーションに関わる業務時間の約1割の削減、売上の5%増の2点を見込んでいる。
「自動販売機戦略に基づいた商品ラインナップの投入により、ブランド育成にも貢献してくるものと考えております。また効率化によって創出された時間は、新規設置先の開拓にリソースを割くほか、オペレーション担当者の人材配置の柔軟性を高めていきます」(吉岡氏)

現在Vendyは、日々の売上と場所を掛け合わせて推計しているが、今後は人流データや気象データをインプットデータとして活用することや、新たな機能の開発も視野に入れているそうだ。松山氏は「人手不足などの課題解決に貢献し、将来的には自販機管理業務以外の巡回業務を伴う幅広い業界へ展開できるサービスにしていきたい」と話した。
最後に吉岡氏は、AIによる需要予測の広がりや可能性について「自販機に関わらず、全ての販売チャネルの需要予測を基にして、生産や物流などサプライチェーンマネジメント全般での効率化に貢献したい」と話し、同会見を締めくくった。