企業メッセージはストック型として中長期的に効果が出る
━━メルカンの記事や企画の中で、瀬尾さんが特に手応えを感じたものを教えてください。
三つほど挙げさせていただきます。一つ目は、弊社のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)への取り組みを紹介した記事です。メルカリでは、性別による賃金格差の是正に向けた取り組みを進めていますが、狙いと施策について、D&I担当者やデータアナリストにインタビューした記事を公開しました。

公開直後は大きな反響はありませんでしたが、現在は検索から記事を見つけてもらったり、Xでシェアしてもらったりと、じわじわと反応を得ています。
この記事は直接採用に関する話ではないものの、自分たちの会社の姿勢やメッセージを世の中に伝えていくという側面では、結構手応えがありました。企業メッセージはストック型として、中長期的に効果があるのも実感しましたね。
━━意外でした。実は私、まだこの辺のニーズに関してよくわかっておらず、本当に読んでもらえるの?と思っていたんです。
実は私たちのチームは採用サイトを運営していることもあって、D&Iや福利厚生に関するページは、読者の方に時間をかけて読み込んでもらっているというのが、アナリティクスからもわかっていたんです。確かに採用候補者からしたら、入社する上での関心事として気になるんだろうなと思いまして。多くの人に刺さらなくてもいいので、当社への入社意向が高い人をさらにひと押しするような情報を作っていく、ということを考えた時に必要なコンテンツだと考えています。
机に向かってキーボードを叩くことだけが仕事じゃない
━━ありがとうございます。他に手応えを感じた記事についても、教えていただけますか?
二つ目は、リーダーインタビューの連載企画「Meet Mercari’s Leaders」です。

メルカリでは組織がダイナミックに変わったり、新規サービスが立ち上がったりして、都度様々なところからリーダー陣がやってきます。そのため各組織のリーダー自身の言葉で、組織の役割やビジョンを語ってもらうことに意義があると考え、連載をスタートしました。連載でリーダーの人となりや想いに触れることで、社員や採用候補者が「自分がその組織で働く姿」をイメージしやすくなったと感じています。
最後は、創業10周年を機に展開した「メルカリの10年、そしてUnleashする可能性と未来」という特集です。

メルカリでは10周年のタイミングで、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というグループミッションを新たに掲げたんです。特集では各事業のキーパーソンたちに、グループミッションに対する想いを、それぞれの言葉で語ってもらいました。当初このミッションは抽象的な部分もありましたが、様々な人によって言語化されたことで、ミッションが社内に浸透する良い機会になったと感じます。
━━様々な企画を立ち上げて、手応えを感じているんですね。瀬尾さんはオウンドメディアの担当者として、心がけていることはありますか?
オウンドメディアの運営を任されている以上、社内でどう認識されているかは気になるところです。せっかく社内の様々な部署の方にインタビューする機会があるのに、「記事化する際の手続きが面倒」「またメルカンに取材されるのか」と思われたら、本末転倒です。
事業部の方から「うちのプロジェクトを取り上げてください」と相談があった時は、もちろん事業部の想いは大切にしつつ、他の事業部の動きともコラボレーションしながら、Win-Winの企画を提案するようにしています。たとえば一つの記事でも「PM × エンジニア」のように複数ポジションに対して訴求するなど、「1記事、1役割」に留めないよう、結構気を遣っているかと。
そのためには、日頃からいろいろな人とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことが何より大切ですね。オウンドメディアの仕事は、机に向かってキーボードを叩くだけではないんです。一人ひとりの想いに寄り添い、共感を通じて価値あるコンテンツを生み出すことだと思います。