ミス3.テレビCM素材をSNSにそのまま転用している
テレビの視聴時間が減り、スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスの利用時間が増加しています。これにより、テレビCMでは十分にリーチできない層に対し、SNSの運用型広告でターゲット接触を図るクライアント様が増えてきました。
もちろん、タッチポイントの考え方としては適切ですが、SNSに配信するクリエイティブに関しては注意が必要です。

実際にテレビCMのクリエイティブをそのままSNSで配信したり、各SNSに適したサイズにリサイズして配信したりするクライアント様が多くいらっしゃいますが、私たちはSNS上で流すクリエイティブとしては最適ではないと考えています。
SNSを見ているユーザーの多くは、企業からの投稿よりも生活者の投稿、つまりUGCを情報源として重視しています。テレビCMのような広告感の強いクリエイティブだと、接触ユーザーが広告と判断して情報をスルーし、効果も下がってしまうのです。

またSNSの場合、利用しているユーザーによって利用目的が異なるため、目的に合ったコンテンツを用意しなければ、リーチできても認知や興味の形成につながりません。
認知目的の場合は、アテンションを獲得しやすいキービジュアル風のクリエイティブが好まれます。一方、理解促進が目的の場合は、第3者から丁寧にレビューするようなクリエイティブが効果的です。最終的な購入の後押しが目的であれば、販促キャンペーン系のクリエイティブやロゴなどで権威付けをしているクリエイティブが結果につながりやすくなります。
まとめとなりますが、SNS広告のクリエイティブとテレビCMクリエイティブでは正解が異なるので、テレビCMをそのまま転用して効果を出すのは難しいです。ユーザーのインサイトと施策目的に合わせて、クリエイティブを使い分けて接触させていくことが重要となります。
ミス4.ターゲットを一括りにしたコミュニケーション
クライアント様からオリエンテーションをいただく際、たとえば「商材のターゲットは20代から30代女性、美容関心層」といった概要をケースがございます。こちらの設計自体は間違いではないですが、もう少しターゲットを細分化し設定することで効果的なプロモーションを実行することができます。
大前提として、市場には様々な商品がありふれています。スキンケアでしたら、プチプラでも成分がいいものから、中価格帯で高品質なもの、デパコスなどラグジュアリーなものまで様々あります。
ターゲットはこの様々な商品から自身に合う商品を探しており、信頼する情報源も人によって異なります。たとえば美容関心層の中でも、自分の肌や髪に必要な成分が含まれているかどうかを重視するユーザーもいれば、本当に効果があるのかエビデンスを重視するユーザー、美容サイトの口コミやランキング、美容賢者の信者など、幅広く細分化できます。

細分化するステップを踏まずに、美容関心層という大枠でプロモーションを実行してしまうと、訴求が均一になりどのターゲットにもそこまで刺さりづらい施策結果となるため、プロモーション効果が上がりづらいです。あくまで例として化粧品業界を挙げましたが、他業界でも同様のターゲット分解が必要となります。
ではどのようにターゲットを細分化していくのが良いのでしょうか。まず、生活者への定量調査が挙げられるでしょう。また、過去の施策で反応している層の分析や、SNSで発話しているユーザーの口コミ分析を合わせて実施することで、より正確にターゲットが捉えやすくなります。
プロモーションを考える上では、自社のブランドはターゲットの中でもその層に刺さりやすいのかを改めて細分化し、ペルソナを設定することでより実施すべきプロモーション、タッチポイント、ターゲティング、訴求内容がクリアになってきます。