ゼクシィでLTVを重視しないワケ
大城(Adjust):続いて、皆さんが「アプリユーザーの価値」をどう捉えているか、お聞かせください。
室谷(リクルート):アプリユーザーの価値と聞いてLTVの高さを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ゼクシィではLTVを重視していません。なぜなら、一生のうちに結婚式を何度も挙げる方はそう多くないためです。シンプルにアプリ内のアクション・コンバージョン数を追っています。
酒井(ANA X):「ANAマイレージクラブ=プラットフォームビジネス」という観点から、事業全体に対してアプリがどのような価値を提供できるか、計測する必要があると考えています。
具体的な取り組みとしては、Adjustを導入して経路別の分析を行っています。インストール後のユーザーの行動や継続率などを詳細に分析し、どのタイミングでどのような意思決定がなされているかを評価できる形にしています。
皆さんの中には「気がついたらマイルが失効していた」という経験のある方も少なくないのではないでしょうか。マイルは貯まっているものの活用できていない休眠ユーザーがいるため、そのような状況を改善する方法も模索しています。
インストールを最も多く促したのは名刺サイズのポップ
大城(Adjust):プロモーションにおける考え方やナレッジのシェアもお願いします。
渡辺(アイスタイル):口コミサイトのアットコスメにおいて、アプリのインストールを促す施策を実行していますが、月間ダウンロード数は過去比210%です。私が手がけた約5年前からは、約10倍にまで成長していますね。5W1Hを基本として、地道にA/Bテストを重ねてきた結果です。
渡辺(アイスタイル):実店舗において実施しているインストール促進施策についてもご紹介しましょう。実店舗では、様々な販促物にAdjustのリンクを組み込んだQRコードを掲出しています。最もインストール数の多い販促物は、QRコードが載った名刺サイズのポップです。
大城(Adjust):カード形式の販促物が最もインストールにつながった理由はどこにあると考えますか?
渡辺(アイスタイル):店舗スタッフが手に取りやすいサイズであるため、お客様に紹介しやすいという非常にシンプルな理由だと思います。
実際、店舗スタッフはアプリインストールの促進に積極的に取り組んでくれています。イノベーティブだったのは、レジ前の床にQRコードを印字し、列の待機中にアプリをインストールできるようにしたことです。休日などレジに長い列ができた際、多くの方がスマホを見ながら順番を待つ様子から店舗スタッフが着想しました。