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「Adjust Ignite Tokyo 2024」レポート(AD)

ゼクシィ、ANAマイレージクラブ、アットコスメのアプリマーケ 1インストールを科学した先に見えるもの

 モバイルアプリの計測・分析ツールを提供するAdjustは、今年で2年目となるアプリマーケティングカンファレンス「Adjust Ignite Tokyo 2024」を開催。会場には業界のリーダーたちが集結した。「1インストールを科学する!~様々な施策でアプリ利用ユーザーを発見、分析、解明する方法とは~」と題されたセッションでは、ゼクシィ、ANAマイレージクラブ、アットコスメのマーケターが登壇。様々なチャネルでユーザーにサービスを提供する3社では、アプリというチャネルをどう捉えているのか? 新規ユーザーの獲得や他チャネルとの棲み分け、継続率の向上など、自社の工夫を語った。本稿ではその内容をレポートする。

業界リーダーらが1インストールを科学する

大城(Adjust):本日は「1インストールを科学する!〜様々な施策でアプリ利用ユーザーを発見、分析、解明する方法とは〜」と題したセッションです。「科学する」とは、論理的に物事を捉えることだと捉えています。本セッションのモデレーターを務めるAdjustの大城です。パネリストの皆さん、自己紹介をお願いできますか?

Adjust Senior Customer Success Manager 大城圭右氏
Adjust Senior Customer Success Manager 大城圭右氏

渡辺(アイスタイル):2024年6月まで「アットコスメ」ユーザーのアクイジションからリテンションまで、全ての数字にコミットする立場にいました。7月からはマーケティングディレクターとして、経営陣とマーケティングの戦略を立案したり、組織横断型のタスクフォースを率いたりしています。

アイスタイル マーケティングディレクター 渡辺智氏
アイスタイル マーケティングディレクター 渡辺智氏

室谷(リクルート):私は新卒でディー・エヌ・エーに入社し、アプリサービスのマーケティングに携わっていました。現在はリクルートで「ゼクシィ」や「ゼクシィ縁結び」のマーケティングを担当しています。加えて複数事業のデジタルマーケティングにおける専門性強化や人材育成にも従事する立場です。今回はゼクシィのアプリマーケティングについてお話します。

リクルート マリッジ&ファミリー領域マーケティング部 マーケティングリード 室谷侑太郎氏
リクルート マリッジ&ファミリー領域マーケティング部 マーケティングリード 室谷侑太郎氏

酒井(ANA X):私は新卒で入社したヤフー(現LINEヤフー)において、エンジニアとしてプロジェクトマネジメントなどに携わりました。その後転職し、旅行やコンサルティング事業を経て、現在はANA Xで「ANAマイレージクラブ」アプリのプロダクトマネジメントを担当しています。

ANA X デジタルマーケティング部 酒井一匡氏
ANA X デジタルマーケティング部 酒井一匡氏

アプリにあってほかのチャネルにない価値とは

大城(Adjust):まずは所属企業の事業において、アプリがどのような立ち位置にあるのか、お聞かせください。

渡辺(アイスタイル):当社では、化粧品の口コミサイトである「アットコスメ」のほか、ECサイト「アットコスメショッピング」や、実店舗「アットコスメストア」という三つのアセットを有しており、これらをアプリに集約してプロモーションを実施しています。

渡辺(アイスタイル):アプリのインストール数は、広告を打たなくても確保できています。リテンションに関しては、実店舗経由のユーザーとECサイト経由のユーザー、口コミサービス経由のユーザーで差があるのが現状です。

室谷(リクルート):当社では、アプリを「結婚準備を楽しみながら、かつ効率的に進めていただくための施策の一つ」として展開しています。

 ゼクシィには雑誌・リアル・Web・アプリの接点があり、ユーザーの皆さまには自身のニーズやシーンに合ったチャネルを使っていただきたい思いが前提としてあります。たとえば「結婚が決まった幸せを噛みしめながら雑誌を買いに行く」という行動の価値は、アプリでは出しづらいものです。また、パートナーと一緒に「これがいいね」と話しながら見ることができる点も、雑誌ならではの価値でしょう。一方で、予約のしやすさや式場見学の簡便さ、どこでも見られる利便性といった点では、アプリが優れていると思います。

 このように、それぞれのチャネルに得意な点や魅力的な部分があるため、必要に応じて複合的なチャネルに接していただきたいと考えています。

酒井(ANA X):ANA Xでは、航空事業に留まらず日常領域を含めてお客様と接点を持ちながら、幅広いサービスの提供を目指しています。お客様との接点を増やす施策の一つがアプリです。Webやリアルだけではアプローチしきれない部分のカバーをアプリには期待しています。

 そもそも「マイル」という概念は、旅行好きの方々にとっては共通言語であるものの、そうでない方々の日常生活とは結びつきづらいものです。マイルの概念を日常生活に浸透させ、より多くの方々にとって身近なものにしていくことが、アプリを活用して解決したい今後の課題だと考えています。

モバイルアプリトレンド2024:日本版

AdjustとSensor Towerが共同調査した本レポートでは、日本市場でのアプリパフォーマンスに関する戦略的なインサイトをお届けします。ゲーム、ファイナンス、Eコマース、コネクテッドTV、PC、コンソールなどのチャネルのデータ分析から、アプリの成長機会を探ります。ダウンロードはAdjustのサイトから。

ゼクシィでLTVを重視しないワケ

大城(Adjust):続いて、皆さんが「アプリユーザーの価値」をどう捉えているか、お聞かせください。

室谷(リクルート):アプリユーザーの価値と聞いてLTVの高さを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ゼクシィではLTVを重視していません。なぜなら、一生のうちに結婚式を何度も挙げる方はそう多くないためです。シンプルにアプリ内のアクション・コンバージョン数を追っています。

酒井(ANA X):「ANAマイレージクラブ=プラットフォームビジネス」という観点から、事業全体に対してアプリがどのような価値を提供できるか、計測する必要があると考えています。

 具体的な取り組みとしては、Adjustを導入して経路別の分析を行っています。インストール後のユーザーの行動や継続率などを詳細に分析し、どのタイミングでどのような意思決定がなされているかを評価できる形にしています。

 皆さんの中には「気がついたらマイルが失効していた」という経験のある方も少なくないのではないでしょうか。マイルは貯まっているものの活用できていない休眠ユーザーがいるため、そのような状況を改善する方法も模索しています。

インストールを最も多く促したのは名刺サイズのポップ

大城(Adjust):プロモーションにおける考え方やナレッジのシェアもお願いします。

渡辺(アイスタイル):口コミサイトのアットコスメにおいて、アプリのインストールを促す施策を実行していますが、月間ダウンロード数は過去比210%です。私が手がけた約5年前からは、約10倍にまで成長していますね。5W1Hを基本として、地道にA/Bテストを重ねてきた結果です。

渡辺(アイスタイル):実店舗において実施しているインストール促進施策についてもご紹介しましょう。実店舗では、様々な販促物にAdjustのリンクを組み込んだQRコードを掲出しています。最もインストール数の多い販促物は、QRコードが載った名刺サイズのポップです。

大城(Adjust):カード形式の販促物が最もインストールにつながった理由はどこにあると考えますか?

渡辺(アイスタイル):店舗スタッフが手に取りやすいサイズであるため、お客様に紹介しやすいという非常にシンプルな理由だと思います。

 実際、店舗スタッフはアプリインストールの促進に積極的に取り組んでくれています。イノベーティブだったのは、レジ前の床にQRコードを印字し、列の待機中にアプリをインストールできるようにしたことです。休日などレジに長い列ができた際、多くの方がスマホを見ながら順番を待つ様子から店舗スタッフが着想しました。

ユーザーの多様なフェーズに応じたクリエイティブで訴求

室谷(リクルート):私からは、インストール促進施策と認知向上のためのプロモーションについて説明します。

室谷(リクルート):まずインストール促進施策についてです。先ほど「結婚が決まった時点から式を予約するまで、結婚準備のパートナーとしてアプリをずっと使っていただきたい」という話をしました。そのため、結婚準備の初期段階である情報収集のフェーズから、ある程度形が見えてきて予定を管理したいフェーズまで、幅広いフェーズに応じた訴求をしています。

 たとえば、情報収集段階のユーザーには記事を訴求したクリエイティブ、結婚準備段階のユーザーにはアプリの豊富な機能を訴求したクリエイティブ、式場の検討段階にいるユーザーには式場のバリエーションを訴求したクリエイティブを届けるイメージです。

 アプリの認知を向上するためのプロモーションとして、テレビCMを活用しています。現在進行形で結婚準備をしている層だけを狙ってコミュニケーションするのではなく、将来的に結婚を考えているユーザーに対しても積極的にアプローチするなど、中長期的な関係の構築を目指しています。これがCM施策の基本的な考え方です。

インストール経路によってユーザーの継続率に差が

酒井(ANA X):空港内の店舗「ANA FESTA」と連動して実施したプロモーションの事例を紹介します。先ほどご説明したように、単純なインストール数だけでなく「実際にインストールした方がその後どれくらい継続して利用しているか」という点に着目しました。

酒井(ANA X):プロモーションの結果を見ると、ある特定のシーンでインストールした方の継続率が顕著に伸びていました。たとえば飛行機に乗る直前や旅行中です。旅行中にアプリを通じて有益な情報や高い利便性が享受できたことを思い出し、旅行から戻った後も「価値のある情報を受け取りたい」「ポジティブな体験を得たい」などの動機から、アプリを起動する回数が増えているのではないかと想像します。

 この結果を踏まえ、今後のプロモーションの方向性を検討しているところです。先ほど渡辺さんからアットコスメストアのレジ待ち時間を活用した施策をうかがって、自社でも参考にしてみたいと感じました。

大城(Adjust):皆さんの話をうかがいながら、1インストールを科学するためには、各アプリの特徴をしっかりと捉えつつ、ユーザーのインサイトについて仮説検証を行い、分析することが重要だと感じました。改めて渡辺さん、室谷さん、酒井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:adjust株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/07 10:00 https://markezine.jp/article/detail/46338