変化2:広報にメディアの運営・コンテンツ制作・売上貢献を求めるように
日本パブリックリレーションズ協会が、PR業各社の業務傾向などからPR業界の最新の潮流を探るとともに、PR業全体の売上規模を推計する目的で実施している「PR業実態調査」があります。2023年に実施された調査によると、「広報・PR業務の取り扱い上位項目」として、オウンドメディアやソーシャルメディアの企画・運営が63%、動画の制作・プロモーションは60%でした。
メディアでの掲載実績以外にも、自社のオウンドメディアでの情報発信や動画を通じたプロモーションなど、オウンド・ペイド・シェアードメディアも含めたコミュニケーションが求められているとわかります。
また企業経営における「重点課題」では、「売上拡大」が67%と最も重視されており、広報に対しても売上貢献が求められている時代だと言えます。
変化3:広報業界で追える定量的な指標とデータが増えた
3つ目の大きな変化は、広報業界におけるデータ活用の進化です。広報・PRの領域では、長年何を成果とするかが曖昧で、広告換算値(メディア掲載の獲得件数や、雑誌・Webメディアなどで取り上げられた露出効果を、実際の広告枠を買い取って掲載したときの費用に換算した指標)しか定量的な指標となるものがありませんでした。
時代の変化とともに新たなPR効果測定指標が期待されるようになり、ここ数年で広報の成果を収集して分析できるデジタルツールが開発・普及してきています。これにより、メディア掲載の量を網羅的に把握するだけでなく、SNSへの波及数や記事の論調といった質的な指標も加味した効果測定ができるようになりました。
また広報に関わるデータとして、企業のWebサイトのアクセス数や売上など、事業貢献に関わる指標との関連性も可視化できるようになりました。詳細は次回解説しますが、広報はメンタルアベイラビリティ(ブランド想起のされやすさ)を上げることで事業に貢献している、と考えるとわかりやすいと思います。
実際に様々な指標で取得した広報効果のデータと、他で計測した売上データなどを合わせて見ることで、どのように・どの程度事業に貢献しているのかを推測できるようになり、KPIが立てやすくなりました。
