Instagramをビジネスで効果的に活用するには?
今回紹介する書籍は『シン・インスタ運用術 アカウントを成功に導く5つの戦略』。著者は、トライバルメディアハウスでプロデューサーを務める久保杏奈氏です。
トライバルメディアハウスは、Facebook Japan社に「Instagram運用に強い企業」として紹介される企業。同書の著者である久保氏は、そんな同社にてInstagramをはじめとしたSNS戦略策定の提案やアカウント運用・プロモーション企画を行っています。
本書では、企業によるSNS運用に精通している著者が、ビジネスの成果につながる、Instagram活用の戦略設計方法を解説しています。
近年では、企業が消費者とコミュニケーションを取る上で、店舗、EC、アプリなど様々なタッチポイントが存在します。購買に至るまでのルートが一人ひとり大きく異なる中で、どのようにアプローチすべきか。独自のアルゴリズムによってユーザーの行動履歴に基づき、興味関心の強いコンテンツを優先的に表示してくれるInstagramはマーケターにとって確かに着目すべき存在でしょう。これまでも数多くの企業公式アカウントが運用されてきたと思われます。
しかし、Instagramは世界で数十億人以上のユーザーが利用していることもあり、企業のアカウントやその投稿を認知してもらうことは容易ではありません。また、消費者やユーザーの行動に変化があれば、以前は成果が出ていた運用方法であっても、見直す必要が出てくるでしょう。
本書では、最新の方法論をどのように解説しているのでしょうか?
国内でのハッシュタグの平均回数はグローバル平均の約5倍
本書ではまず、Facebook Japanが2022年9月に開催したイベント「House of Instagram Japan」の内容を基に、日本のユーザー属性や利用状況のデータを紹介。久保氏は同データを踏まえて、グローバルと比較した際の日本ユーザーによるユニークなInstagram活用方法をわかりやすく解説しています。
たとえば、「ハッシュタグの使い方」。日本のInstagramユーザー間では、投稿文や写真の内容を抽象的な言葉で表現することで、同じ趣味嗜好を持つもの同士しかわからないコミュニティとして非常に多く使われていると言います。そのため、日本におけるハッシュタグの検索回数はグローバル平均の5倍にも及ぶと説明しています。
利用状況データとこうした独自視点の解説から、日本におけるInstagramユーザーやその使い方に対して運用担当者が持つイメージと現実とのギャップが埋まるようになっており、運用においてまずは土台となる知識が理解できる構成です。
アカウントのターゲットを「トライブ」でとらえる
本書では、運用の具体的な手順、効果的となる視点についても一から説明しています。
たとえば、アカウントの方針や投稿内容をどう決めるか。久保氏は「誰に向けてアカウントを運用し、そのユーザーにどうなってほしいか」を、ビジネス上の目的、そのターゲットを前提として決めることが重要であると述べています。
ターゲットの切り口として挙げるのが、以下の三つです。
- 競合がシェアを占めている層
- 自社の商品・サービスの認知度が低い層(若年層など)
- すでに自社の商品・サービスのユーザーである層(既存ファン)(p.61)
これらのように「Instagram運用におけるターゲットは、デモグラ属性のみで決めてはいけない」と久保氏。自社の商品・サービスのポジションやメッセージに合わせ、共通の興味関心やライフスタイルを持ったコミュニティ、いわゆる「トライブ」で切り分けてターゲットに設定することが必要なのだというのです。
そのトライブのユーザーが自分ごと化できるテーマで投稿を行うことが、マーケティング効果の最大化につながると述べています。
本書では企業がInstagramを活用したマーケティングで効果を最大化するための方法を初期段階から詳しく説明。設計~具体的なコミュニケーション方法まで5つのステップで解説しています。
Instagramのビジネスアカウントを作ったものの効果的に活用できていない方や、活用を検討しているものの始め方がわからず悩んでいる方にお薦めの書籍です。
本記事はSBクリエイティブからの献本に基づいて作成しております