高頻度でインタビューを行い、ユーザー理解を深める
──ユーザーの年齢層が広がっていく中で、サービスの訴求や、利用を促すためのアプローチにおいて、どのような点を意識されていますか。
中川:当社では、ワーカーの解像度を上げるために、働きたい理由や仕事の選び方、「タイミー」についての感想など、様々な年齢層から直接話を聞く機会を週に3~4回設けています。特にテレビCMなど大きな広告を作る際は15〜30秒しか時間がないので、1つのインサイトだけしか描ききれないのです。そのため現在は理解されやすい汎用的な価値の訴求をしており、50~60代の方々も相対的に増えている状況です。
各年代のインサイトに合わせたクリエイティブ開発はこれからの課題だと考えています。「タイミー」のブランドを考慮すると、いきなりシニアだけに向けた訴求できないのですが、媒体の選び方や、ターゲティングできる領域においてのコミュニケーションの使い分けなどの余地はあるでしょう。
私たちはワーカー個人の潜在労働力や時間の活用が、現代の人手不足を解消するために重要だと考えていますから、年齢の高い方にも「タイミー」の良さに気づいていただき、時間を豊かに使っていただくことは今後のテーマです。

すべての人が柔軟に働ける土壌を作る
──ワーカーへのインタビューで、インサイトを掴むために意識されていることはありますか?
中川:あらかじめコンセプト調査はしていて、検証したい仮説がある状態でインタビューするのですが、会話を誘導しないように気をつけています。準備していた質問内容から話題がずれても、ワーカーが話している内容を深掘りして、納得するまで聞いていく。
そういったインタビューを何人も繰り返し、かつマーケター同士でインタビューした方の顔が浮かぶ状態を作り、アイデアをブレストすると良い企画ができやすいと感じています。チームとしてワーカー解像度の高い状態を作ることが大切です。
──最後に今後の展望を教えていただけますでしょうか。
中川:「タイミー」のミッションとして「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」を掲げています。仕事のバリエーションや時間帯など、誰もが働きたいと思ったときに働けるようにすることがゴールです。シニア・プレシニアを含め、全世代の方々に使っていただけるようなインフラにもなっていきたいです。
シニア・プレシニアの働く場所がないことは社会問題ですし、「高齢の方が来て大丈夫なのか?」といった世間のバイアスがあるようにも感じます。しかし実際は活躍できる方も多いため、「タイミー」の実績をもってそのイメージを覆していく必要があるとも考えています。