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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】令和時代のシニアマーケティング

誰もが自分らしい100年を生きるために UDを推進してきた三菱電機の「らく楽アシスト」

 超高齢化社会において、ユニバーサルデザイン(以下、UD)は欠かせない“基本的な”考え方となる。多様性への意識が高まり、誰ひとり取り残さない社会の実現が求められている今、UDはシニアをターゲットとしていない企業・ブランドも押さえておくべき概念だ。本稿では、長年社内外でUDの啓発・推進にあたってきた三菱電機「らく楽アシスト」の活動を紹介する。シニア×マーケティングから少し視野を広げ、企業姿勢の在り方を考えてみたい。

※本記事は、2024年10月刊行の『MarkeZine』(雑誌)106号に掲載したものです

超高齢化社会を見据え、ユニバーサルデザインを推進してきた三菱電機

──はじめに、三菱電機の「らく楽アシスト」について紹介いただけますか。

中洲:「らく楽アシスト」は、ユニバーサルデザイン(以下、UD)の考え方を社内外に啓発し、推進していくことを目指す三菱電機のブランド活動です。UDの視点を取り入れることで、1人でも多くの人があん心して、楽に、楽しく使える家電を開発すること。それにより、みんなで「しあわせ」を分かち合える社会を実現することを目指しています。

 「らく楽アシスト」の活動をスタートさせた背景には、超高齢化社会を見据えた事業戦略がありました。元々、三菱電機は1995年頃から製品開発にUDを導入することを目指し研究を行ってきましたが、いよいよ到来する超高齢化社会に備えて、UD推進の取り組みに本腰を入れた形です。

三菱電機株式会社 リビング・デジタルメディア事業本部 ブランド戦略推進部 ブランド企画グループ 中洲次郎(なかす・じろう)氏 新卒で三菱電機にプロダクトデザイナーとして入社。空調機器や携帯電話などのプロダクトデザインを担当する中で、マーケティングにも携わるように。並行してユニバーサルデザインの推進に長年注力してきた。2024年3月に同社を定年退職し、現在は専門嘱託社員としてブランディング・プロモーションを担当している。
三菱電機株式会社 リビング・デジタルメディア事業本部
ブランド戦略推進部 ブランド企画グループ 中洲次郎(なかす・じろう)氏

新卒で三菱電機にプロダクトデザイナーとして入社。空調機器や携帯電話などのプロダクトデザインを担当する中で、マーケティングにも携わるように。並行してユニバーサルデザインの推進に長年注力してきた。2024年3月に同社を定年退職し、現在は専門嘱託社員としてブランディング・プロモーションを担当している。

──ここで改めてUDの基本を押さえておきたいと思います。簡単に考え方を教えていただけますか。

中洲:わかりやすい比較対象を1つ挙げると、UDより前の概念として「バリアフリー」があります。バリアフリーは障がいを持っている方や高齢者を対象にしており、“障壁を取り除く”という思想が強いんですね。一方、UDは健常者も含むあらゆる人々を対象にしています。高齢者や身体が不自由な方にとって使いやすいものであれば、年齢や性別など関係なく、みんながあん心して使えるものになるだろうという考えで、対象を広げているわけです。

【参考】ユニバーサルデザイン

バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するとの考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインはあらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。
※出典:総務省『障害者基本計画』より

あん心だけでなく、「使う楽しさ」も提供

──三菱電機では、どのようにUDの考え方を取り入れているのでしょうか?

中洲:らく楽アシストでは、70歳を1つの区切りとし、70歳以降の身体特性変化に配慮しています。理由は、人間は70歳を超えると、加齢による身体的な不自由が多々出てくると言われているからです。家電はおおよそ10年以上お使いいただく場合が多いので、シニアになり家電製品を買い替えた方にも、10年以上は不自由なくお使いいただけるような製品を目指して開発を行っています。また、らく楽アシストでは、「safe to use(あん心)」「easy to use(使いやすさ)」「fun to use(楽しさ)」の3層構造でUDを捉えています。どんな方でもあん心して使えることは大前提とし、そのベースの上に「もっと楽に使えること」、そして「使って楽しいと思えること」を目指しています。

 一方、UDは健常者も含むあらゆる人々を対象にしています。高齢者や身体が不自由な方にとって使いやすいものであれば、年齢や性別など関係なく、みんながあん心して使えるものになるだろうという考えで、対象を広げているわけです。

──たとえば、らく楽アシストにはどのような製品がありますか?

中洲:代表的な製品としてIHジャー炊飯器の「本炭釜紬(つむぎ)」をご紹介します。いろいろな機能や工夫があるのですが、たとえば、あん心してお使いいただくための機能として、音声アナウンスを搭載しています。内釜をセットせずに炊飯ボタンを押すと「内釜がありません」と操作ミスをお知らせし、誤操作防止をアシストするのです。また、フォントは高齢者でも読みやすい「UDフォント」を採用。色弱の方も判別しやすいよう、炊飯ボタンは黄色で囲っています。

 加えて、楽しく使っていただけるよう、全国のお米50銘柄をおいしく炊ける専用の炊飯モードも搭載しています。選択ボタンで銘柄を指定できるようになっていて、たとえば「あきたこまち」を選択すると、あきたこまちの個性を引き出すよう炊き分けてくれるのです。カレーや炒飯などメニューに合わせた炊き分けもできるんですよ。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/01 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46973

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