異なるキャリアのマーケターが語り合う
講演の冒頭、飯髙氏から安藤氏と池田氏にマーケターとしてどのようにキャリアを形成してきたのかが尋ねられた。安藤氏はメールマーケティングのエバンジェリストとしても知られているが、当初から野心を持ってマーケターを目指していたわけではなく、様々な職種を経験する中で、いつの間にかマーケターになっていたと振り返る。
一方で池田氏は、マーケティングに携わりたいという志を持って、25歳の時にマーケティング職へ転職をして以来約26年間マーケティング畑を歩んできたそうだ。
キャリアの異なる3人の経験の中から、BtoBマーケターが持つべきスキルセットに関しての共通項を見出していく形でセッションは進められた。
「BtoBとBtoCは若干違う部分はあるが、それほど大きく変わらない」と池田氏は語る。どちらの場合も最終的に求めるものは受注であり、受注の前に提案、提案の前に商談して案件化する必要がある。そして、良い案件にできる商談は質の良い引き合いから始める必要がある。また、売上は単なるアウトプットとしての出力なので、結果を変えるためには因果関係としてインプットを変える必要がある。
しかし、「多くのBtoBマーケターはどのボタン押したら売上が上がるのかといったボタン探しをしている感覚を持っている」と池田氏は指摘する。実際には1つの施策では簡単に売上は上がらない。BtoBの領域でもBtoCと同様に、「認知」だけでなくニーズが顕在化したときに真っ先に思い出してもらう「想起」が大切だ。BtoBは、BtoCと比べて認知という側面でそもそもマイナスからのスタートだと言える。SNSやオウンドメディアも活用し、想起をしてもらう工夫が必要だ。
顧客とKeep In Touchする重要性
池田氏は書籍『売上の地図』などで売上の質の改善について説いているが、「これはBtoBにも当てはまると思う」と安藤氏は語る。質の高いリードは簡単にピンポイントで得られるものではない。基本的には広く認知してもらい、想起を狙うしかないそうだ。
「私はBtoBで大切なのは『Keep In Touchすること』だと思っています。Keep In Touchしつつ、どうやって社名、サービスやプロダクトの名前を知ってもらうか?という課題に対しては、とにかく有益な情報提供するしかない。有益な情報提供とは何か?の答えは顧客に会って顧客が何を知りたいかを知るしかないのです」(安藤氏)
どの企業も何かしら尖っているものがあるが、社内では当たり前すぎて価値に自分たちが気づいていないだけであり、そこをしっかりと吸い上げることが大切なスキルだと安藤氏は続ける。たとえば、社長に直接聞いてみることも一つの方法だ。
「確かに、私が創業当初に自社の強みとしてお客様に伝えていたことが、今現場で語られているかといえば、違うかもしれない」と池田氏も頷く。