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成果につながるリサーチ

無駄なリサーチをどう防ぐ?元P&G消費者市場戦略本部・米田氏に聞く、失敗知らずになる「すり合わせ」

リサーチをデザインするコツは「単純な流れ」を意識すること

━━「リサーチをデザインする」とは、どのようなことでしょうか?

 「誰かが使ってくれるだろう」という漠然としたものでなく、どんな業務を行っている部門に向けたものにするのか、リサーチを活用してほしいのは部門長なのかチーム長なのか現場の社員なのか、どういうまとめ方にしたらわかりやすくなるのかなど、実際にリサーチが活用される様を思い描かないと、活用されるリサーチのデザインはできません

 以前、「判断力はある。ただ、判断材料が、ない…」というCMがありました。データだけではなく、判断材料として加工するのもリサーチデザインの一環です。私がコンサルさせていただいているクライアント様では、データのまとめ方をビジネス課題の判断材料になるように工夫したことで見違えるような成果を上げられるケースがよくあります。

画像を説明するテキストなくても可

 先ほど、わからないことや知らないことを調べることがリサーチだという話をさせていただきました。まずは、誰がどんなことを知りたいと思っているのかを知る。次に、その人(達)が知りたいことをなんとしてでも探しだそう!と掘り下げていく。そして、その人(達)にわかったことを伝える。この単純な流れを意識できれば、良いリサーチがデザインできると思います。

 既にあるデータの中に有益な情報が眠っていることも多々あります。過去の経験から学べるTIPSもよくあります。競合の動向から見える仮説もあります。必ずしも大がかりなアンケート調査をすることが常にベストであるわけではないのです。そんな中、やはり新しい調査が必要だと考える時は、「どこを探してもない、どうしても足りない『この情報』を入手するのだ!」という目的を念頭に、リサーチを企画していくと良いと思います。

 とにかく様々な可能性やデータを検証していくことが大切です。それには、「こういうリサーチをしたらどう?」と提案ができる企業カルチャーも必要かもしれませんね。

リサーチの成果を上げる重要なファーストステップとは?

━━では、新しくリサーチを始める場合はどうすべきでしょうか? ファーストステップで大切なことを教えてください。

 手段ではなく、目的をしっかり共有することが大切です。手段から入ると、それが目的になってしまうからです。「コンセプトテストで確かめよう」と言うと、コンセプトテスト自体が目的になってしまいますよね。何のためにコンセプトテストが必要なのか、ビジネス課題に立ち戻って、今どんな情報が必要なのか、何が足りなくて前に進めないのかを今一度見直すことができれば、ビジネスに直結するリサーチをデザインすることができます。

 そのために、企業のリサーチ部門も、そしてリサーチを依頼する側も「もっと深くビジネスに関与すべき」だと私は考えています。

画像を説明するテキストなくても可

 「売れるためには、AとBのパッケージのどちらが良いか」ではなく、「離反してしまった20代の女性顧客に戻ってもらうためには何が必要なのか」「そのためにはこのパッケージで目的を果たせるのか」というように、そのビジネスが抱える根本的な課題に携わり、解決のヒントとなるデータをどう集め、どう分析するのかを考えていくことが大切です。

 毎日仕事をしていると、問題が散乱しています。だからこそ、今解決したい問題は何なのかを定義し合意できると、ビジネス課題に直結したリサーチ活用ができると思います。

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リサーチには公正な客観性と高い視座が求められる

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47054

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